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ハルヒに頼まれて、この糞寒い中しぶしぶストーブを取りに行ったわけだが、途中で激しい雨に会い、俺はびしょ濡れで部室に帰ってきたのである。 自分で言うのもおかしな話だが、相当疲れていたのだろう…ストーブをつけて、そのまま机に伏して熟睡してしまった。 どれくらい時間が経ったのだろうか…目を覚ますとそこには、驚いた顔をしているハルヒがいた。どうやら俺が起きるのを待っていたらしい。 とりあえず俺も目が覚めたので、立ち上がって身支度をしようとした…その時だった。 頭がクラクラして目の前がだんだん暗くなっていくのがわかった。強烈な立ちくらみだと思ったのだが、 そうではなかったらしく、俺はそのまま床にバタっと倒れてしまった。 ハルヒ「ちょっと…キョン?」 俺は何か言おう言葉を探したのだが、それよりも意識を失うことのほうが速かった。 ハルヒ「キョン…キョン!?どうしたの!?目を覚まして!!」 冬のさむ~い日のことだった それからのことはな~んにもわからないのだが、古泉の話によるとハルヒはかなり取り乱していたらしい。 しきりに俺の名を呼んだり救急隊員の襟首をつかんで、「キョンは大丈夫なんでしょうね!?」や「何とかしなさいよ!あんたたちプロでしょ!?」と、 喚き散らしていたようである。 救急隊員の方々には少々気の毒な気もしたが、それよりもハルヒがそんなに動揺するとは夢にも思わなかった。 古泉「大変だったんですよ?病院に着いたと思ったら、いきなりお医者様に涼宮さんが掴みかかって、 それを引き離すのに随分時間がかかりました。看護師の方と僕達でやっとでしたから。必死だったんでしょうね、涼宮さんも。」 俺が病室に運ばれてからはハルヒも大人しくなり、静かにしていたそうなのだが… 古泉「ずっとあなたに謝っていましたよ。『わたしのせいね…ごめんね』と。いやぁ~あんな涼宮さんは初めて見ましたね」 あのハルヒが謝るとは…そんなレアな場面を見逃すとは…!? そして古泉に言われるがまま、俺は病室で休んでいた。横になっているとだんだん眠くなってきたので、寝ようと思って目を瞑った矢先のことだった。 ガチャ 扉が開いた。言い忘れたが、俺の病室は古泉の計らいで個室になっていた…おそらくこの病院も『機関』が関係しているんだろうな、 救急車を呼んだのは古泉らしいし。 目を閉じていたので誰が来たのかわからなかったが、声ですぐに誰であるかわかった。 ハルヒ「キョン…」 ハルヒである。「なんだ?」って返事をしようと思ったのだが、いつもと様子が違うので黙っていることにした。 ハルヒ「あたしがストーブ取りに行けって命令したからよね。寒い中、雨に打たれてびしょ濡れで…」 たしかにその通りだが、そういう言われ方をするとこっちが罪悪感を感じてしまうな。 ハルヒ「ごめんね…ごめんね、キョン…ごめんね。」 声が震えていた。もしかして泣いているのだろうか?ますます起きにくい状況になってしまった…。 ハルヒ「ねぇ、キョン?みんな心配してるのよ。みくるちゃんや古泉くんはもちろん、きっと有希だって…。それに私だって、心配してるんだから」 朝比奈さんが心配してる姿は容易に想像できる。古泉はどうだろうな…あいつはどちらかというと、お前の意外な反応を少し楽しんでるんじゃないか? 長門はわからんな。おそらく無表情なんだろうが、心配してくれてると結構嬉しい。 ハルヒ「だから起きなさいよ…団長命令よ…グスッ…団長が名前を呼んだら、団員はすぐに返事しなきゃいけないのよ…。 何度呼んでも返事しないあんたなんて…死刑…グスッ…なんだから…」 完全に泣いている。俺は葛藤していた。もう起きるべきか、まだこのままでいるべきか…。 というか、古泉は俺が目を覚ましていることを、ハルヒに黙っていたのか? さっきまでここであいつと話してて、あいつが出て間もなくしてハルヒが入ってきた。 だとしたら古泉はハルヒとすれ違って、当然ハルヒは古泉に俺の容態を尋ねたはずだ。 ハルヒの様子から察するに、古泉は「いいえ、まだ目覚めておりません」とか何とか言ったに違いない。 全く、悪趣味なやつめ…。 とまぁ~頭の中でウダウダ考えていると、何かが俺の手に触れた。 ハルヒの手だ…ハルヒが俺の手を握っている…。しかも両手で。 ハルヒ「あったかいでしょ?さっきまでカイロで温めてたのよ。また冷えたらいけないもんね。」 そりゃあ、ありがたい。どうせならその優しさを、俺が行くときにくれて欲しかったもんだが…まぁ今更言っても仕方ない。 ハルヒ「あんたが目覚めて元気になるまで、SOS団は活動休止よ。だって、あんたがいないと……つまんないもの…」 それからしばし沈黙が続き、再びハルヒは口を開いた。 ハルヒ「ずっと前に言ったでしょ?悪夢を見たって…あれね、実は悪夢ってほどでもなかったのよ…」 悪夢?あぁ、二人きりの閉鎖空間のことか。あんまり思い出したくないがな…。 ハルヒ「あのときね、その夢にあんたが出てきたのよ。灰色の世界でね、そこにはあんたと私しかいなかったわ。」 だから思い出させるなっつの… ハルヒ「そしたら急に変な巨人が出てきてね、周りをめちゃめちゃに壊しまくってるのよ。 私はその巨人に恐怖心はなかったんだけど、あんたは違ってたみたいね。私の手を引っ張って外へ連れ出したのよ。 あっ、ちなみに私達は学校にいたんだけどね」 ハルヒ「それからあんたは、私を校庭まで連れて来たのよ。私はその灰色の世界にいたいって思ってたんだけど、 あんたは言ったわ。『元の世界に戻りたい』ってね。」 そりゃそうさ。あんな世界に好き好んでいようって考える奴は、おまえ以外にいやしない。 ハルヒ「それからあんた何言ったと思う?ものすごい真面目な顔して、『ハルヒ…実は俺、ポニーテール萌えなんだ』 とか言い出したのよ。今思い出すと笑えるけど、あのときは呆れて笑うどころじゃなかったわ」 ああ、できることなら記憶から抹消したいよ。跡形もなくな。 ハルヒ「でもね、そのあとあんたは言ったわ。『反則的に似合ってる』って。結構嬉しかったのよ?照れ臭くて 『バカじゃないの!?』とか言っちゃったけど」 ハルヒ「私が呆気にとられてると…あんたは…私の唇に…キス…したのよ…。あんたは絶対に信じないでしょうけどね。 それで気が付いたら朝だったわ。起きた瞬間は、『どうしてファーストキスの相手がキョンなのよ!』って気分だったけど……今は……違うわ」 おい…何を言い出すんだ…ハルヒ…。 ハルヒ「あんたも知ってるように、私は負けず嫌いなのよ。だから…やられっ放しはイヤ…特にあんたにはね…。というわけで…次は私の番…」 ハルヒ…おまえ…まさか……! もうおわかりだろう…ハルヒは俺に、キスをした。俺がしたときと同じように…俺の唇に。長門のように正確ではないが、おそらく10秒くらいだろう。 ハルヒ「これで…おあいこね。1勝…1敗…。」 何の勝負だ…。ハルヒは俺の唇から離れると、耳元でささやいた。 ハルヒ「あたしがこれで目を覚ましたんだから、あんたも目を覚ましなさいよ。白雪姫みたいなことさせちゃって、 私はあんたの王子様じゃないわよ」 ああ、俺もお前のお姫様ではない。断じてない。 ハルヒ「じゃあね、キョン…次に来たときはいつものマヌケ面見せなさいよ」 今見せようと思えば見せられるんだがな、そのマヌケ面を…。 ハルヒ「じゃあ、またね…」 そう言ってハルヒは部屋を出た。おそらくは扉付近で言った言葉だろう。 それからしばらくして、俺は目を覚ました。といっても最初から覚めてたんだが…。 そのときはSOS団のメンバーが全員揃っていて、「おやおや、やっとお目覚めですか」と白々しい言葉もあれば、 「キョンく~ん」と可愛いらし~いお言葉もあった。いつもと変わらない無表情で、「そう」という一言もあったが。 我が団長はというと、あのときのあれは夢だったのかと思うほどのものだった。 なんせ目覚めた瞬間の第一声が「いつまで寝てんのよバカキョン!」、それに加えて強烈なビンタと来たもんだ…。 さっきのは別の人格か?ハルヒ… そして退院した俺は、すぐに学校へ復帰した。まぁ病み上がりってことで休んでもよかったのだが、何故かそんな気にはなれなかった。 教室へ入ると、ハルヒはいつものように頬杖をついて、不機嫌そ~に外を見ていた。 キョン「よっ、元気か?」 ハルヒ「あんたに言われたくないわよ。もういいの?無理しないで休んだほうがよかったんじゃない?」 キョン「ほほぅ、お前でも心配してくれることがあるんだな。」 ハルヒ「はぁ!?勘違いしないでよ!あたしが心配してるのはSOS団のほうよ!病み上がりだからって足引っ張んないでよね!」 キョン「へいへい、じゃあ今日は授業が終わったら真っ直ぐ家に帰りますよ」 ハルヒ「ダメ。最初っから休むんならまだしも、授業を受けて部活に出ないなんてあたしが許さないわ」 キョン「おいおい、お前言ってることが矛盾…」 ハルヒ「いーから出なさい!これは団長命令よ!逆らったら死刑よ!」 こうしていつも通りの会話を楽しんだわけだが、一つだけ普段と違う部分があった。 それは、ハルヒの今日の髪型が、ポニーテールだったということだ。 終わり
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僕は学校のポケモンバトル部に入っている。 だけど、経験が浅いせいか部員にはいっつも負けている。 野生のポケモン相手でも勝てないからレベルアップもできないんだよなあ… そんなある日、幼馴染の女の子が僕を森に誘ってきた。 元気のない僕をはげましてくれるらしい。 「今からすっごいの見せてあげる、元気が出るよ」 そういうと彼女はポケギアをとりだし、手を上にあげた。 ポケギアからはポケモンの鳴き声が流れている。 それから数分後、なんとピンク色のポケモンが何匹かあらわれた。 そのポケモンはポケギアと同じ声で鳴いている。 すると彼女は花で編んだかんむりをそのポケモンにプレゼントした。 「かわいいでしょ。この子タブンネっていうんだよ」 これがタブンネっていうのか。部の先輩から聞いたことがあるな 「タブンネといるとみんないやされるんだ。そういうパワーがあるの」 彼女は僕にそういった。 そういえば部の先輩もバトルで勝てなくなったときは タブンネの世話になったって言ってたなあ。 ん……?なんだか元気がでてきたな。 「あ、顔が明るくなったね。タブンネにいやされたんだね」 彼女の問いかけに僕は 「うん、君とタブンネのおかげだよ!ありがとう!」 と元気よくこたえた。 翌日、僕は唯一の相棒ゴビットを連れて森へ向かった。 終わり 森につくとさっそくタブンネがでてきた。 たしかに人間をまったくおそれていない。 「ゴビット!いけぇ!」 タブンネは人間が繰り出したポケモンもまったくおそれないようだ。 このあたりでは見かけないゴビットを天使のようなうるうるお目目でめずらしげに見つめている。 これから何をされるのかも知らないで…馬鹿な豚だ。 「ゴビット!ばくれつパンチだ!」 ゴビットの鋼鉄のように硬い拳がタブンネの顔面にヒット! 警戒しないからこんな大ぶりで命中しにくいパンチをまともにくらうんだよこの糞豚。 「ミギュエェェッ?!」 タブンネは何がおこったのかわからない というように目をパチくりさせている。追加効果が混乱なのもあるだろう。 しかし、次の瞬間「ミギュエエェェェェ!」とつぶれた顔をおさえながたのたうちまわりはじめた。 「しぶといな…まだ気絶しないのか。いいサンドバッグになりそうだ ゴビット!もう一度ばくれつパンチ!」 ゴビットは無言で大きくふりかぶり、拳をふりおろす。 しかし、ジタバタ転げまわるタブンネは少しのところで技がとどかないところまで転がった。 混乱が解けたタブンネは立ち上がり、腫れ上がった皮膚でほとんど隠れている目でこちらをキッとにらみ 全力でとっしんをしかけてきた。 しかし、その攻撃はゴビットの体をすり抜けた。 「ミィッ?!」 タブンネは予想外のことに戸惑っている。まぁゴビットは物理的な見た目をしていて技がすり抜けるようには見えないだろうな。 攻撃せずに逃げていればよかったのに本当に馬鹿な豚だ。 「ゴビット!ばくれつパンチだ!」 戸惑っているタブンネにゴビットた渾身の力をこめて鉄の拳をたたきつける! 「ミギュエェェェェアァァアアァァァ!!」 タブンネは拳をもろに受けて吹き飛び、木にぶつかって大きな音をたてたかと思うと、絶命した。 図鑑を開いてみると、ゴビットに莫大な経験値が入ったことがわかる。 「この調子ならゴルーグに進化できるのもすぐだ!よし、ここで鍛えよう!」 ゴビットは無言で頷いた。 終わり
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ハルヒは死んだ。何もかも大切な物が無くなった… あれから、俺は大人になった… あの日の記憶忘れやしない… 「閃光のハルヒ」 ――25年前 俺は、今、高校3年である。 SOS団設立してから2年後か? 今は、春…暖かい空気で眠気を誘う日が続く… そして、俺は今いるのは… 「皆!おっまたせーっ!」 相変わらず声がデカい困った団長…涼宮ハルヒが来た。 みくる「お帰りなさい、涼宮さん」 俺の気持ちを癒してくれる、我らアイドル…朝比奈みくる ん?何で卒業したのにいるんか?って? あー、それはな…放課後だけ遊びに来るんだよ…大学から近いらしい。 俺は、部屋の隅っこへ向く… 「……」 そこに座ってるのは、長門有希…相変わらず無感情で本を読むのが好きみたいだな… 「キョンさん、あなたの番ですよ」 「ん、おぉ…そうか」 先ほど声掛けられた主は、古泉一樹…ハンサムでカッコいいと言う理由で女子達の間で人気らしい…気に入らん! そんな、相変わらず活動してるか… まさか、あの日が来るとは思わなかった… 「…ゲホッ…ゲホッ…ゴホン…」 咳をしてたのは、ハルヒだった。 「大丈夫か?ハルヒ?」 「う、うん…おっかしぃーなぁ…今日まで咳する事は無かったんだけどね」 「そうか…ま、気を付けろ…最近、インフルエンザやら流行ってるみたいからな」 「うん…気を付ける」 あの時、俺は気付いてやれなかった… 俺は、激しく後悔してる… 帰り道… 「キョン」 「ん?何だ?ハルヒ」 「明日、デー…!…ゲホッゲホッ!…ゴホッゴホン!」 「お、おぃ…ハルヒ!大丈夫か?」 「う、うん…だいじ…ゲホッ…ゴホン!」 と、ハルヒの口から出たのは… 血だった… 「!?ハルヒ!」 「だ…大丈夫よ!」 俺から見ても、大丈夫じゃない… 「ハルヒ…」 「大丈夫だから…」 あの時、強制に病院へ連れとけばよかった… 一週間後、ハルヒは元気に活動していたが… 「さぁ、皆!ミー…!ゲホッ、ゲホッ…ゴホン!」 「ハ、ハルヒ!」 「だ…大丈夫よ…平気だ…か…ら…」 と、ハルヒはその場で倒れた… 「ハルヒ!」 俺は、ハルヒがスローで倒れているように見えた… 「涼宮さん!」 「…!長門さん!救急車を!」 「うん」 「ハルヒ!ハルヒ!ハルヒ…ハルヒーーーーっ!」 俺は、いつの間にかにハルヒの事を呼んでた… ピーポー、ピーポー、ピーポー… ―病院 「…キョンさん…覚悟はいいですか?」 「あぁ…何だ…」 「…重い病気ですよ…えぇ、死ぬ可能性もある病気…」 「!?…え?」 「キョン君…その病気は…」 「癌」 と長門が答えた… 癌!?癌だと!?そんな…ハルヒは今まで元気してたのに!?そんな! 「…仕方ない事ですよ…」 「あぁ…ぁ…ぁ…うわあぁぁぁぁぁぁぁ…」 俺は、虚しくも叫んでた… ハルヒ…前から知ってたんだろ?…何で…何でなんだよ… ハルヒの病室 「…ハルヒ…」 俺は、ハルヒの寝顔をずっと見てた… 「……」 可愛い寝顔だ… 「ハルヒ…お前は、どうしたいんだ?」 「……」 「俺とデートしたかったんだろ?」 と、言ってても…ハルヒは返事しない…息を吸ってる音が少し聞こえるだけだった… 「ハルヒ…ハ…ル…ヒ…うっ、ううっ…」 俺、泣いてるのか?辛いのか?何故だ…こんな思いは… 「…あぁ、俺は…ハルヒの事が好きだったんだな…好きだったんだな…」 次の日の朝 俺は、病室で寝てた。 あぁ、俺…泣いて、このまま寝たっけ… 「おは…よう、キョ…ン」 今のは、ハルヒの声だった。 「ハルヒ!起きたのか!?」 「う…ん、昨日は…ゴ…メンね…」 「いいんだ!そんな事はいいんだよ…」 「キョン…」 「ん?」 「泣いて…たの?」 「…あぁ」 俺は、無理矢理に笑顔を作った… そして、毎日… SOS団員や妹…クラスメイト達も見舞い来てくれた。 色々、喋り…笑い…そういう生活を過ごして行った… あの日が訪れるまでに… 一ヵ月後… 「じゃ、俺…帰るわ」 「待って…」 と、ハルヒに呼び止められた。 「何だ?」 「あたしの事…どう思ってるの?」 「ハルヒ…」 弱弱しくなったハルヒ…見てるだけで辛い… そんなハルヒを守りたい… 「…俺は、今までハルヒが居ない学校生活して来た…俺は、学校生活してて、やっと分かった。 ハルヒがいないと、俺はダメなんだよ…元気なハルヒを見たい、見たくでも見れない…俺は、寂しかった! 家で泣く日が多かった、ハルヒのいない学校生活を送るなんで嫌なんだよ!俺は、ハルヒの事好きなんだよ、好きなんだよ!」 俺は、まだ泣いた…情けなかった。 その時、ハルヒは、自分の手で、ゆっくりと俺の手と重なった。 「!?」 ハルヒ… 「あたしも、寂しかったよ…先生から聞いたよ…癌だってね?」 「…あ…」 俺は、言おうと思ったけど…息苦しくで言えなかった。 「あたしは、あの時…凄く泣いたよ…」 「ハ、ハルヒ…」 「あたしは、キョンが好きなのに、もう会えないなんで嫌だった…」 「……」 「それでも、キョンの側に居たい気持ちあったのよ…」 「…俺も!俺も、ハルヒの側に居たかった!」 「あたしは死ぬのが怖い…それでも仕方ない事…だ…よね?」 ハルヒは、泣いてる…俺も泣いてる 「…キョン、キスしてくれる?」 「あ、あぁ…するよ…」 と、ハルヒの唇と重なってキスした…暖かいキスだった… そして…その時が訪れた… 「!?ゲホッゲホッ!ゲホッゴホンッ!」 「!?ハ、ハルヒ!」 「血が出た…あたし、死ぬのね…」 「ハルヒ!今、先生に呼んだからな!手、握ってるから安心しろ!」 「あたし…疲れたよ…ありがとう…キョン…」 「ハルヒ!」 「好きだよ…さ…よう…な…ら…」 ハルヒは、ゆっくりと目閉じた… 「ハルヒ!ハルヒ!」 ハルヒの手は力無くなり、落ちた… 「ハ、ハルヒ…ハルヒーー……」 その時、ハルヒは死んだ… ハルヒといた生活は幕閉じた… そして、葬式が行われた みくる「涼宮さん!涼宮さぁん!…うぅっ…」 長門「……」 古泉「涼宮さん、天国で会いましょう…」 SOS団もクラスメイトも参加してた…皆、泣いてるのは物凄く辛い事だった… 「キョン君ですか?」 「あ、はい」 「ハルヒの母です…あの子を最後まで見守ってありがとうございます…うっ…」 「キョン君、ありがとう…父親である私が…最後までに…うっ…ううっ…」 「御父さん、御母さん、ハルヒは幸せな子です…ですから、ハルヒを悲しませないように頑張って生きてください…」 「あ、ありがとうございます…」 「それから、ハルヒの部屋はどこです?」 俺は、ハルヒの部屋へ行って見た。 「…何だ、シンプルな部屋だな…」 本棚、机、時計、ベッド…色々あるな… 「ん?」 机の上に1冊のノートとビデオが置いてあった。 「これは…ビデオと…日記だ…」 ○月○日 明日は、バレンタインデーだ! 張り切ってキョンに渡そう! あたしの作ったチョコは美味いよ! ○月○日 今日は、楽しいデートだったよ。 色々トラブルあったけど、本当に楽しかったよ! ○月○日 明日は、あたしの誕生日 キョンはその事気付いてるかな? プレゼントが楽しみだな! 俺は、読みながら思い出してしまった…楽しかった事…悲しかった事… 色々あった… 「あぁ…ハルヒ…ハルヒ…」 次へ次へ読む事に手が震えて来た。 そして… 手は止まった。 「!…これは…」 ○月○日 あたしは、病院へ行った… そして、先生から、こう告げた… 「あなたは、重い病気持ってます」と… あたしは、世界が止まったような気がした。 それは、癌だった。 あたしは混乱したよ… あたし死ぬのかな?死にたくないよ…まだ生きる命あるよ! お願い!癌を治して!そうじゃないと、皆に会えなくなる!キョンに会えなくなる! 嫌だよ…あたしは、死にたくないよ… その事を、皆に言ったらどうなるのかな…怖いよ… だから、あたしは黙っとく事にしたの… 静かに死んで、皆に悲しませないように死ぬ事にしよう… 今まで、ありがとう そして、さようなら…皆…キョン… ハルヒ…そんな事思ってたのか… 「…っ!」 すまない…ハルヒ、本当にすまない…すまない! 俺は、泣いた後の疲労感が溜まり 家に着いた… 「……」 俺は、一本のビデオをずっと見てた。 「…今、何時だ?」 と、確認すると…既に0時になってた。 「…見るか」 ビデオを持ってリビングへ行った。 暗闇の中でテレビを付けてビデオを再生した… そして、画面に写された映像… その中に、一人の少女がいた… それが、涼宮ハルヒだった。 ハルヒ!…これは、生前の頃の映像だった。 「こら!バカキョン!今、見てるのは、あたしが死んだ後かな? 元気の無いあんたは見たくも無いわ!あたしが死んでも、キョンはキョンらしく 生きなさいよ! あたしは、死ぬのは怖いけど…仕方ないよね…あたしは、元々、気が弱かったの… それでも、めけずに生きてくれたのは…あんたのお陰よ!」 そりゃ、そうだな…ハルヒを支えたのは、この俺なのだからな… 「…キョン、あたしは今から…告白するわ…あたしは、あんたの事が好きよ!世界で一番好きなのよ! だから、毎日…あんたと会えるのを楽しみに通ってたんだから!それでも、気付かないあんたは… かなりの鈍感ねぇ…ま、それは仕方ないと思うわ!…愛してるよ!キョン!」 ハルヒ…ありがとう… 「…あたしが、死んでも…あたしの事忘れないでね!忘れたら死刑よ! …キョン…今までありがとう、あたしは嬉しかったよ…そして、さようなら…あたしの愛した人…」 ここで、砂嵐に変わって、終わった… 「ハルヒ…俺も、忘れない!何があろうと忘れない!忘れないからな!ハルヒっ!」 時間はもう戻らない…ただ前に進むだけ… …あれから、25年後… 俺は、43歳になった… 古泉は、15年前に俺の知らない女と結婚し、幸せな生活を送っていた。 朝比奈さんは、24年前に…未来へ帰った。もう会えないだろう… 長門は…22年前に俺と結婚し、俺の妻となり…子供も出来た… 俺は、今…重い病気を持ってた… それは、ハルヒと同じ病気だった。 もう、しばらくは持たないだろう… 側に居る、美しい女性…姿は昔とは少し変わらない… それは、長門だった。 俺は、有希に言ってみた。 「…有希、お前は今、幸せか?」 「うん…」 「俺も幸せだ…でもな、俺の命は長く持たない…」 「…うん」 「泣くな…有希…今まで、一緒に歩いて来たんだろ?」 「…嫌だ、あなたと別れるのは辛い…」 「…あぁ、俺もだ…長門、俺が死んだら…ハルヒの側に置いてくれないか?」 「…分かった」 長門…今までありがとな… 「…じゃあ、俺は眠るよ…じゃあな…な…がと…」 「…あなたは、天で無事に、ハルヒに会えますように…」 その時、俺は死んだ… 【*****(本名) 二×××年○月○日死去 原因 胃癌】 …暗い… …ここは、どこだろうか… 周りは、闇に染まってる。 俺は、闇の向こうへ歩いてみた… 闇の向こうから光が溢れて来た… 段々と光は大きくなり、光に包まれた… 「…ここは…」 周りを見ると、あの懐かしき北高校である。 俺は、身に着けてる物を確認した。 「…これは、北高校の制服…」 ふと、隣にあるガラスを見てみると… 「あれ?高校時代の俺じゃねぇか…」 取りあえず、あの懐かしきSOS団室へ向かった。 懐かしい木の香り、風景などを楽しみながら歩いてると… SOS団室に着いた。 そして、俺は、扉を開けた… 「久しぶりね」 扉の向こうにいたのは…俺が今まで会いたかった、愛しい女性…涼宮ハルヒだった。 俺は、動揺してしまい、言葉を探してた。 「キョン、25年ぶりに…やっと会えたね…」 「あ、あぁ…」 「25年間、寂しく過ごしてたよ?」 「…スマン」 と俺は、謝った。 「あははは、いいのいいの!あんたが最後まで生きてくれたし、あたしの事忘れてなかったみたいね」 「あぁ…」 「キョン、改めて言うわ…あたし、あなたの事が好きです! 」 「…ふっ、俺もだよ…ハルヒ!」 「ぶっ、あはははは…真面目に言うなんでおかしいわね!」 「ぶ、ふははははは…確かに、確かにそうだよな!」 俺たちは、やっと笑った…お互いに笑った。 「…ねぇ、キョン」 「ん?」 「久しぶりに、キスして…」 「分かったよ…」 と言って、キスした… ハルヒ、いつまでも一緒にいるからな… キョン、やっと会えて本当に良かったわ… 次、転生した時は…ハルヒとキョンみたいな子が生まれるだろう… そして、会えた時は…まだSOS団やるのだろう… 完
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僕は学校のポケモンバトル部に入っている。 だけど、経験が浅いせいか部員にはいっつも負けている。 野生のポケモン相手でも勝てないからレベルアップもできないんだよなあ… そんなある日、幼馴染の女の子が僕を森に誘ってきた。 元気のない僕をはげましてくれるらしい。 「今からすっごいの見せてあげる、元気が出るよ」 そういうと彼女はポケギアをとりだし、手を上にあげた。 ポケギアからはポケモンの鳴き声が流れている。 それから数分後、なんとピンク色のポケモンが何匹かあらわれた。 そのポケモンはポケギアと同じ声で鳴いている。 すると彼女は花で編んだかんむりをそのポケモンにプレゼントした。 「かわいいでしょ。この子タブンネっていうんだよ」 これがタブンネっていうのか。部の先輩から聞いたことがあるな 「タブンネといるとみんないやされるんだ。そういうパワーがあるの」 彼女は僕にそういった。 そういえば部の先輩もバトルで勝てなくなったときは タブンネの世話になったって言ってたなあ。 ん……?なんだか元気がでてきたな。 「あ、顔が明るくなったね。タブンネにいやされたんだね」 彼女の問いかけに僕は 「うん、君とタブンネのおかげだよ!ありがとう!」 と元気よくこたえた。 翌日、僕は唯一の相棒ゴビットを連れて森へ向かった。 終わり 森につくとさっそくタブンネがでてきた。 たしかに人間をまったくおそれていない。 「ゴビット!いけぇ!」 タブンネは人間が繰り出したポケモンもまったくおそれないようだ。 このあたりでは見かけないゴビットを天使のようなうるうるお目目でめずらしげに見つめている。 これから何をされるのかも知らないで…馬鹿な豚だ。 「ゴビット!ばくれつパンチだ!」 ゴビットの鋼鉄のように硬い拳がタブンネの顔面にヒット! 警戒しないからこんな大ぶりで命中しにくいパンチをまともにくらうんだよこの糞豚。 「ミギュエェェッ?!」 タブンネは何がおこったのかわからない というように目をパチくりさせている。追加効果が混乱なのもあるだろう。 しかし、次の瞬間「ミギュエエェェェェ!」とつぶれた顔をおさえながたのたうちまわりはじめた。 「しぶといな…まだ気絶しないのか。いいサンドバッグになりそうだ ゴビット!もう一度ばくれつパンチ!」 ゴビットは無言で大きくふりかぶり、拳をふりおろす。 しかし、ジタバタ転げまわるタブンネは少しのところで技がとどかないところまで転がった。 混乱が解けたタブンネは立ち上がり、腫れ上がった皮膚でほとんど隠れている目でこちらをキッとにらみ 全力でとっしんをしかけてきた。 しかし、その攻撃はゴビットの体をすり抜けた。 「ミィッ?!」 タブンネは予想外のことに戸惑っている。まぁゴビットは物理的な見た目をしていて技がすり抜けるようには見えないだろうな。 攻撃せずに逃げていればよかったのに本当に馬鹿な豚だ。 「ゴビット!ばくれつパンチだ!」 戸惑っているタブンネにゴビットた渾身の力をこめて鉄の拳をたたきつける! 「ミギュエェェェェアァァアアァァァ!!」 タブンネは拳をもろに受けて吹き飛び、木にぶつかって大きな音をたてたかと思うと、絶命した。 図鑑を開いてみると、ゴビットに莫大な経験値が入ったことがわかる。 「この調子ならゴルーグに進化できるのもすぐだ!よし、ここで鍛えよう!」 ゴビットは無言で頷いた。 終わり 名前 コメント すべてのコメントを見る
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~部室にて~ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「……」 長門「……」ペラ ハルヒ「ねぇ有希」 長門「なに?」 ハルヒ「あたしたち友達よね?」 長門「そう認識している」 ハルヒ「それじゃあさ、なんか悩み事とかない?」 長門「何故?」 ハルヒ「何故って、特に理由は無いけど」 長門「そう」 ハルヒ「ほら、あたしたちってあんまりプライベートな話しないじゃない?」 長門「?」 ハルヒ「あたしこんな性格だからあんまり同性の友達いないの」 長門「朝比奈みくるがいる」 ハルヒ「みくるちゃんってなんだかんだで年上だし、有希が一番一緒にいる同い年の友達なのよ」 長門「そう」 ハルヒ「だから、その、もっと仲良くなりたいなぁ、って」 長門「つまり『普通』の交友関係を望むと?」 ハルヒ「うっ、団長としてあんまり『普通』を強調されると耳が痛いわね」 長門「他意はない」 ハルヒ「わかってるわよ。そうね、普通に友達と付き合いたいと思ってる」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「一緒に買い物に行ったり、恋愛の話したり」 長門(お腹がへった) ハルヒ「そうだ!有希って好きな人いたりするの?」 長門「好きな人?」 ハルヒ「そう!好きな人!」 長門「それは異性という意味?」 ハルヒ「当たり前じゃない」 長門「自分から答えないとフェアではない」 ハルヒ「え?」 長門「こういった質問の場合、自分から答えずに相手にのみ回答を求めるのはフェアではない、と本に書いてあった」 ハルヒ「え?」 長門「先に言うべき」 ハルヒ「あたしが?」カァァ 長門「……」コク ハルヒ「あ、あ、あ、あたしは、その」チラ キョン「Zzzz…」 長門「?」 ハルヒ「あたしは、今はいないわ!……多分」 長門「そう、わたしは彼が気になる」 ハルヒ「彼?」 長門「そう」チラ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「え?あれ?」 長門「そう」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「友達に嘘はつかない」 ハルヒ「うっ」 長門「なにか問題が?」 ハルヒ「あ、あれはダメよ!止めときなさい」 長門「何故?」 ハルヒ「だって、その、見た目だってよくないし、冴えないし、馬鹿だし、有希には釣り合わないわ」 長門「それを決めるのはわたし」 ハルヒ「そうだけど……」 長門「……」 ハルヒ「でも、あいつは……その」 長門「嘘」 ハルヒ「え?」 長門「さっきまでの発言は嘘だと言った」 ハルヒ「だってさっき友達に嘘言わないって」 長門「それも含めて嘘」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「今度は本当」 ハルヒ「ほんとにほんと?」 長門「くどい。友達の思い人を取ったりしない」 ハルヒ「だ、誰があいつのことなんか」カァァ 長門「なら貰う」 ハルヒ「それはダメ!」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「な、なによぉ」 長門「別に。……ただ」 ハルヒ「ただ?」 長門「人をからかうのはなかなか楽しい」 ハルヒ「なっ!」 長門「友達なら冗談の一つや二つは言うもの」 ハルヒ「そうだけど」 長門「あなたは私に普通の友達を求めた」 ハルヒ「うん」 長門「だからそれに答えられようにしてみた。何か違った?」 ハルヒ「……あたしも普通の友達ってよく分からないけど、多分あってると思う」 長門「そう」 ハルヒ「ここじゃ言えないけど、今度有希にはあたしの好きな人教えるはね」 長門「わかった」 ハルヒ「それじゃあこの話はこれでお終いね」 長門「……」コク ハルヒ「有希はあたしに何かないの?」 長門「なにかとは?」 ハルヒ「質問よ」 長門「質問……。趣味は?」 ハルヒ「不思議なこt」 長門「それはもういい」 ハルヒ「えぇ~。他には、料理とかかな?こう見えて結構お母さんと一緒に作ったりしてるから上手なのよ」 長門(案外普通。しかし) ハルヒ「似合わないかな?」 長門「興味がある」 ハルヒ「そ、そう。有希は一人暮らしなのよね。自分で作ったりしてるんでしょ?」 長門「……」フルフル ハルヒ「もしかしてコンビニ中心?」 長門「……」コク ハルヒ「有希らしいと言えばそれまでだけど、それじゃ全然ダメじゃない」 長門「?」 ハルヒ「いい。女の子は料理くらい出来ないと後々大変よ?」 長門「今日のあなたは少し変」 ハルヒ「そ、そうかしら」 長門「いつもなら『女の子らしい』などということを一々強調しない。それは朝比奈みくるの役割」 ハルヒ「そうかもね。でもなんだか有希とはなんていうの?腹を割って話したいというか、そんな感じなのよ」 長門「それは私が友達だから?」 ハルヒ「そう。それに有希って口堅そうだし」 長門「望むなら他言はしない」 ハルヒ「頼むわよ。SOS団の団長がこんなだったら他のみんなに示しがつかないわ」 長門「……」コク ハルヒ「でも、有希さっき嘘ついたしなぁ~」 長門「しつこい。それよりもさっきの話」 ハルヒ「さっき?あぁ料理の話ね」 長門「なにが得意?」 ハルヒ「ありきたりだけどカレーね」 長門「!!!」 ハルヒ「市販のルーを何種類か混ぜると美味しいのよ。あたしの場合、味の決め手はコンビーフね」 長門「……」ゴク ハルヒ「後は、大量の玉葱と人参にカボチャ。お肉は豚バラと手羽先」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「後は香り付けに月桂樹の葉も必要ね。それとた~か~の~つ~め~、って知ってる?」 長門「知らない。興味がない」ググゥ~ ハルヒ「な、なんか今日の有希はアグレッシブね」 長門「あなたが望んだ結果こうなった」 ハルヒ「まぁ、悪い気はしないわ」 長門「そう」グググゥ~ ハルヒ「お腹空いてるの?」 長門「あなたの話を聞いたら俄然空いてきた。カレーはとても好き」 ハルヒ「そっか……。ねぇ、今日あたしん家両親が出かけてて夜一人なのよ」 長門「それで?」 ハルヒ「せっかくの機会だし有希の家に泊まりに行っていい?」 長門「さっきのレシピ通りにカレーを作るなら許可する」 ハルヒ「じゃあ決まりね♪あたし家に着替えとか取りに行ってくるわね。で、ついでに買い物して行くわ」ガタ 長門「私もついて行く」ガタ ハルヒ「今日は夜通し遊ぶわよ!」 長門「構わない」 バタンッ キョン「ふぁぁ~……、あれ、誰もいない」 Fin ~涼宮邸前~ ハルヒ「おまたせ有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「じゃあ行きましょ」 長門「……」コク ハルヒ「有希の家の近くにスーパーってある?」 長門「ある。問題ない」 ハルヒ「ならいいわ」 長門「そう」 ハルヒ「有希は料理作れるの?」 長門「カップ麺ならお手の物」キラ ハルヒ「……それは料理じゃないわよ」 長門「?」 ハルヒ「ま、まさか家に調理器具ないとかいわないでしょうね」 長門「……。大丈夫用意した」 ハルヒ「用意した?」 長門「問題ない」 ハルヒ「よく分かんないけど、あるんならいいわ」 長門「……」コク ハルヒ「~♪」 長門「……」ジー ハルヒ「ん?どしたの有希?」 長門「別に」 ハルヒ「?変な有希♪」 長門(精神状態が非常に良好) ハルヒ「有希の部屋って本いっぱいありそうよね」 長門「家にはあまりない」 ハルヒ「そうなの?」 長門「そう」 ハルヒ「ちゃんと片付いてる?」 長門「……」コク ハルヒ「そうよね。有希ってなんか几帳面っぽいし」 長門「……」 ハルヒ「先に家行っていい?荷物持ったままだと買い物しずらいし」 長門「構わない」 ハルヒ「♪」トテトテ 長門「……」トテトテ ~長門宅にて~ ハルヒ「お邪魔しまーす」 長門「どうぞ」 ハルヒ「ほんとに誰もいないのね」 長門「私だけ」 ハルヒ「今は二人よ」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「こっちがリビング」 ハルヒ「へー、って何にもないじゃない!?」 長門「机がある」 ハルヒ「見りゃ分かるわよ。こんなシンプルな部屋なんて初め てみたわ」 長門「そう」 ハルヒ「普通年頃の女の子なら小物の一つでも……」 長門「普通?あなたは普通は求めいていないのでは?」 ハルヒ「もう!いちいち突っ込まないでよ。あくまで一般論よ 、一般論」 長門「……」ジー ハルヒ「な、なによ」 長門「別に」 ハルヒ「気になるじゃない」 長門「別にと言った」 ハルヒ「わかったわよ」 ハルヒ「それじゃあ買い物行きましょう」 長門「行く」 ハルヒ「それじゃあ案内してね」 長門「任せて」 ~スーパーにて~ ハルヒ「まずは野菜ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「まさか、お米何も無いとは思わなかったわ」 長門(お菓子もある) ハルヒ「とりあえず、カボチャに玉葱、にんじんっと」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「次はお肉ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「やった、豚バラ半額よ。得したわね」 長門「……」コク ハルヒ「手羽も見つけたし、後は香辛料ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「あった」 長門(することが無い) ハルヒ「それじゃあレジ行ってくるから、お金は後で割りカンね?」 長門「わかった」 注:調理シーン及び食事シーンは割愛で。 ~再び長門宅~ 長門「ごちそうさま」 ハルヒ「おそまつさまでした」 長門「美味しかった」 ハルヒ「カレー好きの舌を満足させれてよかったわ」 長門「牛、豚、鳥が全部入ったカレーは初めて」 ハルヒ「そうなの?家であれが普通よ。実際安いお肉だけで済んでるし」 長門「今後の参考にする」 ハルヒ「どうぞ。それにしてもよく食べるわね。見てるだけでお腹痛くなりそう」 長門「いつもこのくらい」 ハルヒ「この小さい体にどんだけ入るのよ」ポンポン 長門「お腹を叩くのはやめて」 ハルヒ「あっ、ごめん。でもあれね、次回の不思議探索は有希の胃袋の限界調査ね」 長門「構わない」キラッ ハルヒ「いずれはSOS団を代表して、大食い女王決定戦に出てもらおうかしら」 長門「一向に構わない」キラッ ハルヒ「あはは、流石に冗談よ」 長門「……そう」 ハルヒ「……有希はさ」 長門「?」 ハルヒ「一人暮らしで寂しくないの?」 長門「特に」 ハルヒ「でも学校から帰ったらここには誰もいないじゃない?」 長門「……」コク ハルヒ「あたしなら寂しいなぁ、って」 長門「やはり今日のあなたは変」 ハルヒ「またそれ?なかなか弱みを見せないあたしが見せてるんだから、少しは相槌しなさいよ」 長門「弱みを見せるということは私を信用している?」 ハルヒ「家族の次に」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「……私は、あまり寂しくない」 ハルヒ「有希は強いのね」 長門「なぜなら」 ハルヒ「なぜなら?」 長門「普段なら今頃、彼とメールのやり取りをしている」 ハルヒ「え?」 長門「寝るまで」 ハルヒ「か、彼って?」 長門「そう、彼」 ハルヒ「そ、そんな話聞いてないはよ!」ガタ 長門「それはそう。言ってない」 ハルヒ「な、な、な、だって有希好きじゃないって、い、言ったじゃない」 長門「そろそろメールを送る」カチャ ハルヒ「え!?」 長門「……」メルメル ハルヒ「……」ドキドキ 長門「完了」 ハルヒ「……なんて送ったの?」 長門「……」 ハルヒ「ちょっと、なんかいいなs」ピリリリ ハルヒ「こんな時誰からよ?」 FROM ♪ユッキー♪ 本文 あなたは単純すぎ(笑) だから面白い(笑) さっきのはもちろん真っ赤な嘘(笑) 長門「ユニーク」 ハルヒ「……」 長門「……ユニーク」 ハルヒ「有希」 長門「……ユ、少し調子に乗った」 ハルヒ「……そう、有希でもそんなことがあるのね」 長門「ごめんなさい」 ハルヒ「まぁいいわ。でも後で覚えてなさいよ?」 長門「わかった」 ハルヒ「ったく、もぉー」 長門「牛?」 ハルヒ「え?」 長門「なんでもない」 ハルヒ「そう」 長門「そう」 ハルヒ「……なんか不思議よね」 長門「?」 ハルヒ「SOS団で、とかじゃなくて有希と二人だけじゃない?」 長門「SOS団があるから今がある」 ハルヒ「そうなんだけど……」 長門「?」 ハルヒ「あのね、一つ前からどうしても聞きたいことがあったの」 長門「なに」 ハルヒ「あたしが文芸部の部室をなかば強引に頂いたじゃない」 長門「……」コク ハルヒ「う、肯定された。で、それって迷惑じゃなかった?」 長門「問題ない」 ハルヒ「ほんと?」 長門「本当」 ハルヒ「今更だけど、迷惑だったら謝んなきゃ、ってずっと思ってたのよ」 長門「迷惑ではない。むしろ良かった」 ハルヒ「え?」 長門「あれは必然。あなたが来て、彼が来て、朝比奈みくると古泉一樹が来た。そのおかげで今に至る」 ハルヒ「有希……」グス 長門「だからあなたは謝罪ではなく、謝礼を言うべき」 ハルヒ「ん?」グス 長門「私があの部室を保有していたおかげでSOS団がある」 ハルヒ「……なんか有希って性格ちょっと悪くない?」 長門「あなたが望んだ」 ハルヒ「あたしが望んだのは友達よ!」 長門「友達なら関係は同等。あなたに合わせると自然とこうなる」 ハルヒ「また聞き捨てならないわね」 長門「気のせい」 ハルヒ「……今回も貸しにしとくわ」 長門「そう」 ハルヒ「ふぅー、ねぇお風呂入っていい?」 長門「構わない。バスタオルは脱衣所にある」 ハルヒ「ありがとう。……有希一緒に入らない?」 長門「一緒に?」 ハルヒ「そう、たまには裸の付き合いも悪くないでしょ」 長門「それは一般に男性の台詞」 ハルヒ「細かいことは気にしないの、ほら行くわよ♪」ガシ 長門「分かったから引きずらないで欲しい」ズルズル ~脱衣所にて~ ハルヒ「~♪」スル 長門「……」 ハルヒ「~♪」スルスル 長門「……」 ハルヒ「あれ?有希脱がないの?」 長門「すぐ入る。先に行って」 ハルヒ「?わかったわ」 長門「……」 長門(これは今日の仕返し?) 浴室にて~ 長門「遅くなった」 ハルヒ「先にお風呂頂いてるわよ」 長門「構わない」ジャー ハルヒ「はぁ~、暖まるわ~」 長門「そう」ゴシゴシ ハルヒ「……」ジー 長門「何?」ゴシゴシ ハルヒ「え?いや、有希って肌綺麗だなぁって、なんか使ってるの?」 長門「何も」ゴシゴシ ハルヒ「いいなぁ、うらやましい」 長門「私はあなたがうらやましい」ジー ハルヒ「ん?あぁ、これ?そうね有希にないもんね」ニヤニヤ 長門「私にもある」ジャー ハルヒ「え?どこ?」 長門「……涼宮ハルヒを敵性と判断」キュ ハルヒ「ちょ、冷たいわよ、有希!冷水は卑怯よ!」 長門「聞こえない」 ハルヒ「こんなけエコーかかって聞こえないわけないでしょ!もう、冷たいってば」 長門「潜ればいい」 ハルヒ「!その手が」ザブ 長門(今のうち) ハルヒ「ぷはっ、息続かない」ガン ハルヒ「って、イタ!」 長門「注意力が足りない」 ハルヒ「潜ってる時にふた閉めないでよ!驚いたじゃない」 長門「それが目的。今だけはあなたは私の手のなかで踊る」 ハルヒ「なによそれ」 長門「なんでもない」 ハルヒ「それより入んないの?風邪ひくわよ」 長門「入る。詰めて」 ハルヒ「ん」 長門「あたたか、くない……ぬるい」 ハルヒ「ふん、自業自得ね」 長門「お湯を足す」 ハルヒ「賢明ね。これじゃ誰かさんのせいで風邪引いちゃうわよ」 長門「……」 ハルヒ「だんだん暖かくなってきたわね」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ有希。後ろ向いてこっちに背中あずけて」 長門「何故?」 ハルヒ「なんか有希ってちっちゃいから妹みたいに見えて」 長門「妹?」 ハルヒ「ほら、キョンの妹ちゃんいるじゃない?あの娘見てから、あたしにも妹いたら良かったのになぁ、とか考えちゃうのよ」 長門(あまり強く考えられると現実になりかねない) ハルヒ「だから有希、お姉ちゃんとこおいで。なんてね」 長門「わかった」クル ハルヒ「いやに素直じゃない♪」ギュ 長門「……」ムニ ハルヒ「ふぅ」ムニ 長門「……」イラ ハルヒ「暖かい」ムニ 長門「背中に当たるものが非常に不愉快」ザバァ ハルヒ「もう出るの?」 長門「出る」 ハルヒ「じゃあ、あたしも上がr」 ピシャッ!! ハルヒ「ちょっとなに閉めてんのよ!あけなさい!」 ~寝室にて~ ハルヒ「もう、せっかく夜通しで遊びたいとこだけど明日も学校なのよね」 長門「仕方がない」 ハルヒ「わかってるわよ」 長門「布団はここでいい?」 ハルヒ「どうせなら隣通しにしましょうよ。それでどっちかが寝るまでずっと話してましょ♪」 長門「構わない」 ハルヒ「決まり♪」 長門「歯を磨いてくる」 ハルヒ「あらまだだったの?あたしなんかとっくに」イー 長門「そう」トテトテ ハルヒ「ったく、つれないわねぇ」 ハルヒ「先に横になってよ」 ハルヒ「……」 ハルヒ「……」バタバタ ハルヒ(あたし今友達とお泊りしてるんだよね?なんか楽しい♪案外普通も悪くないじゃない) 長門「戻った。……ほこりが出るからあまり騒がないでほしい」 ハルヒ「あっ、ごめん」 長門「別にいい」ストン ハルヒ「それじゃあ寝ましょ」 長門「明かりを落とす」カチ ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「なんか喋りなさいよ!このままじゃ寝ちゃうじゃない」 長門「……あいうえお」 ハルヒ「……今、はっきりしたわ。どうやら今日の有希はあたしにケンカ売ってるみたいね?」 長門「……」フルフル ハルヒ「いいえ、許さないわ。ちょっとそっちに詰めなさい」モゾモゾ 長門「何を?」 ハルヒ「罰として、今晩は有希を羽交い絞めにして寝る」 ハルヒ「観念しなさい」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ」 長門「何?」 ハルヒ「これから先も皆でやってけるかなぁ」 長門「何を?」 ハルヒ「SOS団」 長門「今は何の問題もない」 ハルヒ「そうじゃないの。あたしにとってSOS団ってほんと特別なのよ。こんなに皆でワイワイやって楽しかったことなんて今までなかった」 長門「……」 ハルヒ「有希に、みくるちゃんに古泉君、鶴屋さんもそうね、ついでにキョン」 長門「……」 ハルヒ「皆とだから上手くやってけてる気がする。大人になったら、流石にあたしも少しは丸くなってると思う」 長門「丸く?」プニプニ ハルヒ「有希」 長門「……ジョーク」 ハルヒ「はぁぁ。だからね、大人になっても皆で楽しくやってけるかなぁって」 長門「……」 ハルヒ「今が楽しすぎるから不安になってくのよ」 長門「大丈夫」 ハルヒ「何がよ」 長門「あなたが望めば願いはきっと叶う。もちろん私も望んでる」 ハルヒ「……有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「そうだよね」 長門「そう」 ハルヒ「ありがとう。それとね……」 長門「?」 ハルヒ「昼間話してた、その、あたしの好きな人なんだけど……」 長門「別に言わなくていい」 ハルヒ「え?」 長門「気付いてないと思ってるのはあなただけ」 ハルヒ「……え?」 長門「朝比奈みくるも古泉一樹も知っている」 ハルヒ「……」カァァ 長門(抱きしめる力が強くなった)ギュウゥゥ ハルヒ「……あいつも知ってるの?」カァァ 長門「残念ながら彼の鈍さは尋常でない」 ハルヒ「そ、そっか」 長門「そう」 ハルヒ「も、もう寝ましょ」 長門「……」コク ハルヒ「……あたしたちこれからもずっと友達よね」 長門「友達」 ハルヒ「……親友と思っていい?」ボソ 長門「何?」 ハルヒ「な、なんでもないわ!おやすみ!」 長門「?おやすみ」 ~通学路にて~ ハルヒ「おはよう、古泉君」 古泉「おはようございます。おや今日は長門さんと一緒ですか?めずらしいですね」 ハルヒ「そうなのよ。有希が寂しいからどうしてもって言われて、昨日はお泊りだったのよ」 長門「明らかに事実と違う」 ハルヒ「そうだっけ?」 長門「そう」 ハルヒ「まぁ、どっちでもいいじゃない」 長門「……昨夜の恥ずかしい寝言を話す」 古泉「おやおや、それは興味がありますね」 ハルヒ「え?何?寝言なんてあたし知らないわよ!?」 長門「それはそう。寝言だから」 古泉「それで涼宮さんはいったいなんと?」 長門「まず、ky」 ハルヒ「ワーー、ワーー、ストップよ有希!あたしが悪かったから」 長門「反省してる?」 ハルヒ「してるしてる」 長門「そう、ならいい」 鶴屋「おや、皆朝から元気いいねぇ」 みくる「みなさん、おはようございますぅ」 ハルヒ「鶴屋さんにみくるちゃん!おはよう」 古泉「おはようございます」 鶴屋「いったい何騒いでたんだい?」 長門「涼宮ハルヒの弱みを握った」 鶴屋「なんだって!それはでかしたよ!」 ハルヒ「有希、喋ったら死刑よ!」 長門「なら、死刑になる前に今全て暴露する」 ハルヒ「ちょ。ウソ!ウソよ!有希!落ち着いて」 みくる「みんな朝から元気ですねぇ」 古泉「えぇ、ほんとに。もし可能なら、こんな日がずっと続けばいいですね」 みくる「そうですねぇ」 Fin?
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「なによ。ずいぶんとご機嫌ね?」 カーペットに寝転んでTVを見てるのは親父。いい大人が日曜の朝からアニメ見ておもしろい? 「そうとも。気分がいい。だが、お前には負けそうだ」 「どういう意味かしら?」 「年頃の娘の幸せそうな姿を見るのは親冥利に尽きるが,男親としては寂しさに悲しさが添加されるようだ」 「な・に・が・言いたいのかしら?」 「ハル、お父さんと遊んでいいの? 思ったより時間過ぎてるわよ」 と助け舟を出したのは母さん。どっちにとっての助け舟かしらね。 「ええ、うそ。やばい。じゃ、行ってくるね」 「まて娘。行きがけの駄賃だ」 そういってバカ親父が何か放ってくる。と、と、と、キャッチ。え、あたしの携帯? 夕べ、居間でテレビみながらメールして、そのままだったんだ。 「心配するな。何も見てない。それから充電なら、しといた」 何も聞いてないでしょ! ……見てたら殺すけどね。 「楽しんでこい。だが、孫はまだいらんぞ」 「母さん、グーで殴っといて。いってきます!!」 「はいはい、いってらっしゃい」 ああ、もう! だから親父が家にいると、調子狂うのよ! 今日だって、ほんとだったらキョンに迎えに来させるはずだったのに。キョンの奴、「俺はかまわんぞ」って言ってたけど、あたしがかまうの! あんなセクハラ親父、見せられないわよ。こんなあたしを見せたくない、ってのもあるけど。 「いっちまったか」 「お父さん、さみしそうなのに、何だかうれしそうですね」 「何故だか当てたら、母さん、デートしよう」 「そうですね。とてもいいお天気で、お洗濯日和だこと」 「わかった、ヒントを出そう。これ、なーんだ?」 「お父さんの携帯でしょ。……あなた、まさか? またハルに怒られますよ」 「俺の娘のくせして、機械に弱いからな、あいつ」 「機械に弱いというより、せっかちなんですよ、お父さんに似て」 「『携帯なんて電話とメールができれば十分よ!』って、どこの親父かと思うよ」 「で、何したんですか?」 「あいつはマニュアルなんて絶対読まないからな。自分の携帯の機能も知らないんだ。母さん、最近の携帯にはGPS機能というのがあってな」 「はあ。なんだか、わかっちゃいましたよ」 「さすがだな、母さん。デートしよう」 「はいはい。でもハルの邪魔しちゃ駄目ですよ」 「それぐらいの慎みはある。だが歯止めが効かない恐れもある。だから、母さん」 「デートというか、お守りじゃありませんか。……すこし支度に時間がかかりますよ」 最悪よ、最悪。 集合場所(じゃなくて今日は待ち合わせ場所よね)には約束の10分前に着いたわ。予定では30分前につきたかったとこだけど。 物陰から恐る恐る覗くと、キョンの奴はまだそこにはいなかった。そこにはね。 「なにしてるんだ、ハルヒ」 「!」 いきなり背後から声かけないでよね! 「あたしがどっかのスナイパーなら、撃ち殺してるところよ……」 じとっとした目でにらんでやる。 「おれも今来たところだ。どっちにしろ、今日は俺のおごりだから、安心しろ」 缶コーヒーを二つ持って後ろから登場したキョンは、はあ、とため息をつく。でも、不機嫌というわけじゃないわね。まあ、これはもう癖みたいなものね。多分。 「あんたの情けは受けないわ」 キョンの奴は一瞬あ然として、それから吹き出した。 「な、なんで笑うのよ!」 「いや、すまん。というか、おれはおまえに情けをかけた覚えは一度だってないぞ。まあ、かけられた覚えもないが」 まだ笑ってるし。何がそんなにおかしいのかしら。 「し、知ってるわよ、そんなこと」 少しくらいは、優しくしてくれてもいい、と思う時もなくはないけどね。まあ、いつだって、ある意味「やさしい」のだけれど。特殊すぎて、時々腹が立つわね。 「出掛けに何かあったか?親とやらかしたとか?」 それに、普段は極端に鈍いくせに、時々ムダに鋭い。わざとやってるんじゃないかしら。 「親父と、ちょっとね」 「ケンカか?」 「ケンカというか、いたぶられた、わね」 なに、その「お前がか?」みたいな顔は。むかつくわね。 「まあ、おまえの親だもんな」 「どういう意味?」 あたしじゃなけりゃ、頬をはられて一発で退場ものよ。 「別に。まあ、強いて言えば、俺にも据えられる腹がなくはない、ってことだ」 「意味分かんない。ああ、言わなくいい!」 あたしは、このバカの手を引いて歩き出す。この場で、これ以上の言葉は不要だわ。 「用意できたか。じゃ、出発!」 「ハルとは2時間遅れですけど」 「小娘には、それくらいのハンディはやらんとな。俺も鬼じゃない」 「……これで、結構仕事ができるっていうんだから、不思議ね」 「うん。多分世の中には2種類の人間が要るんだな。一つは壊す人間、もう一つは修復する人間。壊す人間がいるから新しいことが起こるし、直す人間がいるから毎日が続いていく。俺やハルヒは壊す方だし、おまえや、えーと……」 「キョン君」 「そうそう、そのキョン君は、直す方の人間だな」 「苦労しそうですね」 「俺は仲良くなれそうな気がする」 「不憫になってきますよ、キョン君が」 「なあ、おまえの家って、普通か?」 「はあ?なに?」 「ああ、NGワードだったか。いや、ただ家族仲とか、どうだと思ってな」 「それを知って、あんたはどうしてくれる訳?」 「ふう。確かにできることしかできないけどな。手順を踏めば、もう少しできるかもしれん」 「どういう意味?」 「いや、とにかく、雑用係にも、愚痴ぐらいは聞けるって話だ。おまえが話したいこと限定でな」 「いまは雑用係に用はないわ」 「そうか。じゃ、暫定彼氏志望者じゃどうだ?」 「・・・」 「……黙るなよ。情けないが、これでも、なけなしの勇気なんだ」 「出直してきなさい。あと『志望者』ってのは、外してきて」 「へ?」 「あー、もう、うっさい。あんたが変だから調子狂うわ。どうしちゃったのよ、今日は?」 「知らん。……父親って聞いたらかな?」 「言っとくけどね!」 「……おう」 「あたしは親父似だからね!」 こ、こらキョン、なんでそこで笑うのよ!バカにしてんの!? 「おまえはキョン君に何度か会ってるんだろ?」 「ええ。よくハルを送って来てくれますし、遊びに来たことも何回か」 「拗ねてるように聞こえるかもしれんが、初耳だ」 「ええ、はじめて言いましたよ。拗ねてるんですか?」 「正直言うと拗ねてる」 「私は感謝してますよ」 「俺だって感謝してるよ。娘と軽口を言い合える日が来るなんてな。うれしくて頬刷りしたくなる」 「愛情表現が相変わらず下手ですね」 「いまのは冗談だぞ、母さん」 「私のも冗談ですよ」 「ハルヒの中学時代を思うとな」 「あら、『俺はハルヒを信じる。信じて待とうと思う』と言ってたじゃありませんか」 「父に二言はない。が、つらくなかったと言えば嘘になる」 「ハルヒ似のお父さんが、よく切れずに我慢しましたね」 「それ、ほめてくれてるんだろうが、ハルヒが俺に似てるんだ」 「どっちもどっちですよ」 「いや、時間の順序とか、遺伝とか、そういうのがあるだろう」 「冗談ですよ」 「で、母さん。映画と買い物と、どっちがいい?」 「映画見てから買い物するか、買い物してから映画を見るか、ですね」 「買い物はいいが、あまり荷物になると、映画も見にくいし、第一フットワークが悪くなる」 「あら、その後、追いかけっこでも?」 「娘と彼氏を追い回す、いかれた親父か。悪くないな」 「一生、口を聞いてもらえなくなりますよ」 「まあ、荷物なんか預けてもいいし、送らせてもいいか」 「とりあえず映画見てから、買い物で時間をつぶしましょうか」 「で、キョン君って、どんな奴なんだ?」 「そうですねえ。一言では言えないけれど、やさしい子ね」 「最近の男はみんなやさしいぞ。中には例外もなくはないが」 「ハルがどんなわがまま言っても、照れ隠しに怒っても、許してくれる。でも、ハルのためにならないと思ったら、嫌われようが苦言するし本気で怒ってくれる」 「ほんとはその役をやりたかったんだ」 「お父さんは何をやっても、真剣に怒っているときも、どこか楽しげですもの」 「そうでもない。特に娘に『楽しんでる』『好きでやってる』といわれのない非難を受けることほど悲しいものはないぞ」 「ハルはお父さんにはそうあって欲しいのよ。でも私はハルがちゃんと涙を流せる女の子に育ってうれしいわ」 「……」 「どうかしました?」 「いや、黙ったら少しは悲しげに見えるかなと思って」 「自分で解説が必要なら、まだまだですね」 「キョン君に聞いといてくれ。ハルヒの叱り方」 「『親のプライドが微塵もない』ってハルの声が飛びそうですねえ」 「あいつときたら、父親をグーでなぐるんだぞ。俺のお仕置きビンタはスウェイでかわすくせに」 「そんなの教えたの、お父さんじゃありませんか」 「父親のこめかみにハイキックするんだぞ。父親に関節技つかう娘が他にどこにいる?」 「それでも少しも効いてない振りして笑っているからですよ。あ、でもハイキックはキョン君に叱られたみたい。『スカートの中とかいろいろ見えるだろ』って」 「……」 「なんですか、そのOh, my god!! みたいな身振りは?」 「感情表現が下手なんだ」 「『別に減るもんじゃないでしょ!』ってハルが言い返したら、『減るんだよ。俺のHPとかLPとか、なんかそんなのが』とキョン君が」 「そんな話したのか?」 「ええ、ハルが声帯模写付きで話してくれたのよ。『自分のものでもないのに何言ってんのよ!』とか、ぶつくさ言ってたわね。あら、私の声真似もなかなかいけてた?」 「ハルヒが母さんにいじめられている映像が、何故だか頭に浮かぶんだが」 「ええ。ハルが照れ隠しに不機嫌ぶるのがかわいくて、ついついからかちゃうんだけど」 「今度そういうことがあったら、喜びは二人で分かち合おう。写メで送ってくれ」 「そんなに変なのか、ハルヒの親父さん」 今日は日曜、俺的には近頃すっかり定番となった市内、もとい「市街探索」だ。参加者は、土曜に定例で行われる市内探索と違って、団長と団員その一。今、二人は移動中、電車の中で隣り合って立っている。 前の日の探索の終わった後か、その夜の電話などで、日曜の集合時間とだいたいの行き先が決まる。目的は「市内探索」と大同小異、つまりあってないようなものだが、参加者によってはいくらかの意見の相違はあるかもしれない。あっても別にかまわん。他人と付き合うのは、いやそういう意味じゃないぞ、異なる意見の持ち主と共にいること、なんだろう。多分な。 「変ってもんじゃないわ。あれはヘンタイの域に達しているわね」 「さっき、ハルヒは親父さん似だ、と聞いたような気がしたんだが」 「何か言った!?」 「いや、続けてくれ」 「娘を叱る時まで、おもしろ半分なのよ。一応、顔は怒ってる訳。でも、目がいかにも 『怒り顔、演じてます』って感じにニヤケてるの」 「気のせいじゃないのか?」 「ないわよ。叱り終わったら、さっさと隣の部屋へ行ったの。で、こっそり後付けてみたら、突っ伏して、文字通りお腹を抱えてるのよ!『すまん、母さん。限界だ』だって。母さんもその時ばかりは離婚を考えたって。あたしもそれで一時、人間不信に陥ったわよ」 突っ込んでいいのか、笑っていいのか、わからんぞ、ハルヒ。 「ある時、また親父のひどい悪ふざけで、何だったかは忘れちゃったけど、すごく頭にきて、親父のこめかみにハイキックをあびせたの。ああ、昔の話だし、あんたに会う前だし、部屋着に着替えてたし、スカートじゃなかったんだから、ノーカウントよ。……話もどすわ。とにかく親父の側頭部を蹴ったの。クリーンヒットだったわね。で、親父どうしたと思う? 屁でもないって顔でせせら笑ってるのよ。レバ—打ち→ガゼル・パンチ→デンプシー・ロールでとどめ刺そうとしたら母さんに止められたけど。ったく、思い出すだけで腹立つわ」 「子どもみたいだな」 おまえみたいだ、とは言わなかった。いかに俺でもそれくらいの空気は読める。というか、そう言った際の「不幸な俺」の映像を思い浮かべることはできる。 「そうよ、ガキなのよ、ガキ!」 「しかし父親と殴り合ってる中高生は、ざらにはいないと思うぞ。男女問わず」 「誰と誰が殴り合ってるのよ!? 向こうがこっちに一方にやられてるんでしょ。直ちに修正しなさい!」 「いや、ハルヒのケリを頭にくらって立っていられること自体、想像しにくいんだが。お前の親父はレスラーか何かか? 首まわりがお前のウエストより太いとか?」 「フツーのサラリーマンだと言い張ってるけどね。ああ、でも『相手の攻撃をよけてもいい格闘家がうらやましい。どんな技でも一度は受けるのがプロレスラーだ』とか、ふざけた台詞を吐いてたことはあったわ」 「ハルヒ、それに似たようなセリフ、俺もマンガで読んだことあるぞ」 「ああ、そうなの。それ知ってたら、その時突っ込んでやったのに」 やれやれ。なんだかハルヒの無駄な攻撃能力の育成環境を垣間見た気がする。 「お父さん」 「なんだ、母さん?」 「ロードショーじゃなくて名画座、というのはいいんですけど」 「すまんな。実は古い映画が好きなんだ」 「それは知ってますけど、この3本立て」 「ルトガー・ハウアー特集。『ブレードランナー』(1982年)、『ヒッチャー』(1986年)、『聖なる酔っぱらいの伝説』(1988年)。うむ、確かに右肩下がりだな。いい役者なんだが、この後、いい映画と役にめぐまれなかった」 「それはいいんですけど」 「あとサム・ペキンパーの『バイオレント・サタデー』(1983年)とリチャード・ドナー 『レディ・ホーク』(1985年)があれば完璧だったんだが」 「お父さんの見た映画は大抵見るようにしてるんですけど」 「それは、なにげにすごいな」 「『ヒッチャー』って、デートで見に来るような映画だったかしら?」 「ご立腹はごもっとも。しかし、いささか都合があってな。これ」 「携帯?」 「実は今さっき、ハルヒの携帯に特殊なメールを送った」 「大丈夫なんですか?」 「問題ない。このGPS機能のおまけだ。そのメールを送ると、ハルヒの携帯から、現在いる位置情報を知らせる返信メールが俺の携帯に来る。すると、地図の上にハルヒの現在位置が表示されるというシステムだ」 「いくら熱々カップルでも、メールが入ったら気付くんじゃないかしら?」 「恋する乙女の手を煩わすまでもない。今朝、ハルヒの携帯をいじって、『GPSメールを自動返信』モードにしといた。もともと迷子や徘徊老人の位置把握に使う機能なんだ」 「おもしろがって、その説明をハルにしないでくださいね。種明かしとか言って」 「駄目か?」 「そんな肉を川に落とした犬のような目で見ても駄目です」 「あいつの怒った顔を見るのが、唯一の生き甲斐なんだ」 「寂しい老後ね。いずれは出て行く娘ですよ」 「キョン君に婿に来てもらえばいい。あいつは話せる奴だ、多分」 「まあ、会ったこともないのに」 「もうすぐ会えるさ。だが今はまずい」 「どうしてです?」 「演出上の都合だ。さっきチェックしたところ、あいつらも映画を見るらしい」 「ロードショーを、ですか?」 「そう。だからあの界隈をうろうろしたくない」 「お父さん、嘘と尾行は下手ですものね」 「そうなんだ。よくサラリーマン社会でやっていけると思う」 「では、こうしましょう。交換よ」 「携帯をか。で、どうする?」 「お父さんはルトガー・ハウアーをご覧になって。私は買い物と尾行を楽しみます」 「母さん、今日はデエトだぞ」 「発音を気取っても駄目よ。デートなら、嘘でも私とルトガー・ハウアーを見る必然性を力説しなきゃ」 「ダシに使ったみたいで悪かった。素直じゃないんだ。ツンデレなんだ」 「本当にルトガー・ハウアーが見たかったのね」 「そっちじゃない。いや、完敗だ。最初から勝てる気がしない」 「では集合時間を決めましょ」 「12時半に○○屋(本屋)の哲学・思想書コーナーでどうだ? 誰も近づかん。その時間でもすいてるぞ。なんなら合言葉も決めようか」 「じゃあ、私が『ハルヒ』といったら、あなたは『キョン』ね」 「逆にしないか? 父親の男心も察してくれ」 「いいけれど、ダメージという点では同じじゃないかしら」 「本当だ。ハートブレイクだ、母さん」 「はいはい。じゃあ、また後でね」 「映画、よく見るのか?」 キョンが尋ねる。映画館でする質問じゃないわね。間抜けっぽい。キョンらしいといえば、キョンらしいけど。 「そうでもないわ。親父は家にいると絶えず何か見てるけど。多分、その反動ね」 キョンはいつものように少し困った風に笑う。あたしの方がもっと自然に笑ってるわね。それは多分、こいつの前だから。以前は少し悔しい気がしたけど、今は認めてあげるのもやぶさかじゃない。というくらいには、寛大になれた気がする。「寛大」というには、ほんとは程遠いけどね。はあ、自分につっこむ癖がついた気がするわ。誰のせいかしらね。 「で、今日の映画、おもしろいんでしょうね?」 「正直よくわからん。ふつうの映画とごくふつうの映画とへんな映画とすごくへんな映画があったんだが」 「なによそれ?」 「今、この辺りでやってる映画だ。あとは、怖い映画とすごく怖い映画だったな」 「すごく怖い映画がよかったわね」と言ってやると、キョンの顔に少しだけど焦りの色が見える。そこはポーカーフェイスで華麗にスルーでしょ。いつもみたいにやる気なさそうな顔でいいのよ。あたしはニヤリと笑ってやる。 「まあ、ヒロインが白血病で死ぬとかでない限り、暴れ出さないわよ」 声には出さないけど、やれやれ、って言ってる顔ね。 「まあ、『暴れる』と口で言ってるうちは大丈夫か」 うっさいわよ、キョン。 「ハルヒ」 「キョン。……母さんの言うとおりだった」 「何がです?」 「映画だ。『ヒッチャー』。確かにデエトで見る映画じゃない」 「そうですよ」 「ごついおっさんが、若い者を延々と追いかけ続けるんだ。自己嫌悪だ」 「あらあら」 「殺しても死なないんだよ、そのおっさん」 「ルトガー・ハウアーですから」 「それでさらに、若い者を延々と追いかけ続けるんだ。自己嫌悪だ」 「お昼、どうします?」 「携帯、とりかえてくれ」 「はい」 「ピ。ピ。ピ。……おいおい」 「どうしました?」 「あいつらだ。高校生らしく、ファストフードで済ませると思ったんだがな」 「この地図、小さいわ。どの辺りにいるのかしら」 「ここだ。こじゃれたイタメシ屋なんかあるところだ」 「よくそんな細かいところまでわかりますね」 「この辺りのメシ屋、ゲーセンの類いはすべて暗記した。基本だ」 「少年課の刑事さんみたいね。娘に似て、無駄に高いスペックね」 「娘が俺に似たんだ。……無駄に高いか?」 「キョン君が奮発したんですよ、きっと」 「イタメシ屋か? ランチだと1500円からある」 「そこまで覚えてるの?」 「基本だ……無駄に高いかな?」 「ええ、きっと。でも、嫌いじゃありませんよ」 「よかった。凹むところだった」 「で、鉢合わせはまだ避けたいの?」 「劇的な登場と行きたいもんだ」 「すてきな昼食と、わたしたちもいきたいわ」 「ガキが来そうにないそば屋があるんだが。そのイタ飯屋からすると駅を挟んで反対側だ」 「落ち着いて食べられそうね。天ざるなんて、どうかしら?」 「人におごりたくなるほど、うまいのが食える」 「すてきね。ごちそうになるわ」 「イエス、マム」 映画は可もなく不可もなく、といった感じだった。 泣かせどころが2〜3カ所、笑いどころが5〜6カ所。まあ,普通に「へんな映画」だったわ。 それも、前半はハラハラドキドキ手に汗にぎって見てたのに、後半はグーグーいびきかいて寝てる奴ほどではなかったわね。呆れるのを通り越して、笑えたわよ。 言い訳がまた古典的というかベタというか、「明日が楽しみで、夕べ寝られなかった」と。あんた、何時代の人間よ? 思いついても普通口に出来ないわよ。事実なら、なおさらね。 まあ、あたしも終わり三分の一は寝てたし、この件はこれ以上追求しないわ。あんたも忘れなさい。いいわね、キョン? いいのよ。こういうのは何を見るかより、誰と見るかが,重要なのよ。自爆?どこの誰が? へえ、あんたも言うようになったわね。でも、顔真っ赤にしてちゃ説得力は1ピコグラムもないわよ。うっさい。トマトとか言うな。指をさすな。小学生か?! ……ああ、待って。以後、恥ずかしいこと言う度に一回、グーで殴るから。はい、どうぞ。 ……ヘタレ。いくじなし。 まあ、食事は、おいしかったわね。 「ほんと、食べてる時は幸せそうだよな」 わるい? おいしいもの食べて幸せになるのは当然よ! 何食べても見境なく笑ってたら多幸症だけどね。あんたも、あんなにおいしいお弁当、持ってきてるんだから、笑顔で幸せを噛みしめて食べなさい。あれは、いつ取られるかわからんから、周囲を警戒してる表情だ? 上等よ、表へ出なさい! あ、そ。確かに混んでるしね。随分、並んでるわね。で、この後どうするの? はあ、誘ったの、あんたでしょ。しょうがないわね。ほら。何かって? 見てわかんない? 怪しげな収蔵品を展示してる博物館というか室内テーマパークの割引券。新聞屋が置いて行ったのよ。うっさい。行くの?行かないの? あたし?行くに決まってるでしょ。じゃあ、早く来なさい! 「で、どこで劇的な登場をするんです?」 「俺の計算だと、黄昏どきの展望台だな。みんな景色を見るふりをして、お互いを見ないお約束だから、若いアベックの宝庫だぞ」 「そこに乗り込むの?」 「命知らずだろ? 惚れたか?」 「あの二人、照れ屋だから、いっそ観覧車にするかもね」 「だから町の中にあんなもの建てるのは反対だったんだ」 「ロンドン・アイ、ふたりで乗ったわよね?」 「テームズ川は、心のふるさとなんだ」 「いいところでお父さんが現われたら台無しよね」 「馬に蹴られるような真似はしない。登場はその直後だ」 「『口づけを交わした日は、ママの顔さえも見れなかった』」 「なんだ、それ?」 「歌の歌詞ですよ」 「クールな自分を見失いかけた」 「ふつうですよ」 「目がきょどってないか?」 「ふつうよ」 「まあ、観覧車には爆破予告の電話をするとして、だ」 「いいけど、オカマ声はやめてね」 「母さん、念のため言っておくが、あれは悪ふざけだ」 「知ってるわ」 「信じてくれ」 「はいはい」 「結局、私たちが乗ることになったのね、観覧車」 「何事も予習復習だ。俺は照れ屋なんだ」 「行き当たりばったりも素敵よ。期待以上の事が起きるかもしれないし」 「たしかに。ぎちぎちのスケジュールだと、そもそもサプライズの生じる余地がない」 「どうしたの? 『しまった』って顔して」 「今のをハルヒに伝えるの忘れてた。ああ、親らしいこと、何もせずじまいだ」 「平気よ。どうせ聞く耳もたないもの」 「だが、母さん。あれは、ああ見えて勝負パンツをはいていくような娘だぞ」 「『お父さんの親心は、おじさんの下心』よ」 「なんだ、それ?」 「ことわざですよ」 「新しい自分を見つけ損なった」 「よかったですね」 「声、うらがえってないか?」 「大丈夫」 「しかし、こんな密室に二人きりで向かい合って、恥ずかしくて死ぬんじゃないか?」 「同じ側に隣り合って座る手もあるわね」 「ああ、それならお互いの顔を見なくて済む」 「こんなに近くにいるのに、もったいないわね」 「俺たちも、いいかげん素直になろう」 「あら、私はずっと素直ですよ」 「わかってる。我が家でツンデレは、俺と娘だけだ」 「三分の二いれば、憲法も変えられますよ」 「そうなのか?」 「違ったかしら」 「眼下の下界を見ろよ。人間がアリのようにたかってる」 「夜景には早いけれど、きれいね」 「母さん、吊り橋効果って知ってるか?」 「ええ、保健の時間に習いました。たしかシャクターの情動二要因説(1964)やダマジオのソマティック・マーカー仮説(2000)と一緒に」 「そうなのか?」 「違ったかしら」 「さあ、たっぷり楽しんだな」 「そうですね」 「あとは、若い連中をからかいに行くだけだ」 「ひかえめにね。『やーい、やーい』は、やめてね」 「あれ、嫌がるんだぞ」 「されるのが嫌というより、『これが自分の親』と思うのが嫌みたいですよ」 「うまいぞ、母さん。『親』と『嫌」をかけたんだな」 「いいえ」 「他に禁則事項はないかな?」 「女の子だから、残るような傷はちょっと」 「顔以外の傷は、見たらクーリング・オフは認めんぞ」 「ハルが小さい頃は、毎日、なま傷だらけで。きれいに治ってよかったわ」 「男の子がするような遊びしかしなかったからな」 「息子の方がよかったの?」 「息子だったら、俺が殺されてるか、殺してるよ」 「そうなの?」 「ああ、俺が息子だったらそうしてる」 「ふふ、ハルヒが女の子でよかったわ」 「心底そう思う。だが、うまく伝わらないんだ」 「表現方法を変えてみたら?」 「今度そうする。だが、恥ずかしくて死にそうだ」 「それもいい手かも」 「生まれ変わったら試してみる」 「あの子たち、この中にいるの?」 「隣のビルとつながってるチューブみたいのがあったろ。あれが展望台なんだ。今だと、夕日が正面でロマンチックだ」 「このロビーで待つの?」 「あそこの色の違うエレベータが展望台直通のやつ。あいつらは事がすんだら、あそこから出てくる予定だ。そっちに喫茶があるから、座れるし、お茶も飲める」 「ハルヒ、それとキョン君だったかな? Comment allez-vous?(コマンタレブー)」 「な、なにしてるのよ!?こんなところで」 「母さんと二人で青春してるんだ」 「まさか、つけてきたの? 最低!!」 「自分ばっかり幸せになれると思ったら大間違いだぞ。幸せは分かち合うもんだ」 「母さんまで、この悪魔に魂売ったの!?」 「キョン君、君はまだやり直せる。いっしょに日本へ帰ろう!」 「キョンに指一本でも触れたら承知しないわよ!」 「ラブラブだな、このツンデレ娘」 「親父にだけは言われたくないっ!」 「じゃあフラクラか?」 「娘相手にどんなフラグ立てようっての?」 「死亡フラグ」 「覚悟はできてるようね!」 どうしたらいいのか、いや何がはじまったのか、見当もつかず途方に暮れていると、いきなり襟首をすごい力でひっぱられた。 ハルヒ?は前にいるよな、ってハルヒの母さん? おまえのアレは、母親ゆずりだったのかよ。 「少し離れて見てましょうね。キョン君までケガしたら大変」 「止めなくていいんですか?」 普通は娘の心配をしませんか? 「もう無理よね。こんなにおもしろいもの」 ああ、最後の頼みの綱だったが、この人も駄目だ。 「仕事で家を空けることが多いせいかしら。会うと愛情表現が過激になっちゃうみたいなの」 ころころ笑うところじゃありません。 「ハル、今日はキョン君も呼んで夕食よ。母さん、本気出すから、早くしとめて帰りましょう」 ハルヒは顔は敵(父親)に向けたままだが、親指を立てて(いわゆるサム・アップだ)、多分「OK」の返事をした。 「いつもは、本気じゃないんですか」 と、当たり障りなくて、どうでも良さそうなところに突っ込んでしまう。 「そう毎日だと家計がねえ。普段はどうしても時間とか値段とか効率を考えてしまうの。今日はそういうリミッターなしだから、楽しみにしててね。『さすがハルヒの母さんだ』ってところをお見せするわ」 すみません。俺にはお見せできるようなものが何もないみたいです。 「いいのよ、そんな」 「今はこれがせいいっぱい……」 どこかで聞いたようなことを言って、俺は闘争オーラの震源地へ、びびりながらも2歩、3歩踏み出した。 「一家団欒のところお邪魔してすみません」 「キョン君、下がっていろ。手負いの娘が何をするかわからん」 「このバカ親父!!」 俺はすうと息を吸い込んで、低く押さえ込んだ、しかしよく通る声の出し方で言った。 「おいハルヒ、やめとけ」 「うっさい、邪魔するな!!」 「やめないとな・・・別れるぞ」 「「!!」」 音速の壁を越えて父と娘が同時に俺につかみかかってきた。ああ、ハルヒのお母さん、後のことはお願いします。 「お、親の前で、だ、だ、だれが、あんたと、つ、付き合ってるみたいなこと言うな!!」 「……」 「親父、何黙ってるのよ!!」 「いや、突っ込もうか、おちょくろうか、嬉しいような、寂しいような、複雑な心持ちでな。ところでハルヒ」 「なによ!?」 「キョン君、もうオチてるぞ」 「あ」 親の前だとか、いきなり既成事実だとか、パニっくって力の加減ができなかったとか、言い訳はしたくない。結局、意識を失ったキョンは親父が蘇生させて、そのまま親父がおぶって帰った。あたしが、と主張したんだけど、 「若い兄妹を売る奴隷商人に見られたらかなわん」 という訳のわからない親父の言い分が通ったのだ。無理を通せば道理が引っ込むって奴だわ。 母さんは母さんで、キョンの家へ電話をして何やら調子の良い嘘話をこさえて(確かにうちの娘が息子さんの首を絞めましたので、夕食を食べていってもらおうかと、とは言えないわよね)キョンの親御さんを説得し、その前に電話してあったのか、話が終わって建物の外に出ると、タクシーが私たちを出迎えていた。親父とキョンと母さんが後ろに乗って、あたしは一人、運転手さんのとなりの前の席。母さんが無言でそう促したのに従った。 キョンといるところをうちの親に見られて、ううん、うちの親をキョンに見られて、どうしようもないくらい動揺してたのは確か。怒りをあおった親父に乗ったのも,混乱と照れを隠すため。そこにキョン、あんたまで乱入してきて、さすがの私もオーバーフローよ。パニックにもなるわ。でも、あんた、あたしを止めようとしたんだよね。それくらい、分かるよ。分かる過ぎるくらい。あんたがどういう奴で、あの場面に居合わせたら、何を考えて、どうしようとするかぐらい、百もお見通しよ。だから,今は自分が情けない。 「おい、こいつ。なかなかやるな」 バカ親父が何か言ってる。もう黙っててよ。娘が泣いてるのに、責任ぐらい感じなさい。 「『こいつ』なんて呼ばないでよ。ちゃんと『キョン』って名前があるんだから」 「『キョン』は、ちゃんとじゃないだろ……。わかったよ。キョンはすごい奴だ」 「『キョン君』でしょ」 「はいはい。キョン君は、なかなかのもんだ」 「キョンが目覚ましたら、その無駄口、ふさいでよね」 「混乱に混乱を、か。ベタだがなかなか思いつかん。思いついても普通は選択せん。ずいぶんと修羅場をくぐってるのかな、この若者は?」 「知らないわよ」 「おいおい、知らなくていいのか?」 「知ってても、あんたに言う必要ないわ」 「そりゃそうだ」 親父はそっぽを向いて、アヒルみたいに口をとがらせる。子どもみたい。恥ずかしいから止めて。 「昔、父さんの親友二人がな、ちなみに男と女で、そのうち夫婦になるんだが、ちょっとしたレストランで痴話喧嘩を始めた。気性の荒い二人でな、飛び交うのは怒号だけじゃすまなくなって、両方が同時にナイフとフォークを握りしめて立ち上がった。俺はそいつらの向かいで飯を食ってたんだが、店中の人間が父さんを注目しているのに気付いた。『止めてくれ』ということらしかった。その国の言葉は、まだあんまり得意でなかったんで、細かいことはわからんが。父さんは、とっさに自分たちが食事していたそのテーブルを蹴り飛ばしてひっくり返す手を思いついた。でかい音と衝撃で、気をそげるかもしれんと思ったんだ。だが、実行は躊躇した。テーブル・マナーはいくらか教えてもらったが、犬も食わないケンカにテーブルを蹴飛ばしても可、なんて常識はずれもいいところだからな。もう一度、他の手はないか考え込んだ。父さんも若かったから口では『常識なんてくそくらえ』と言っていたが、いざそんな場面に投げ込まれると、自分が骨の髄まで常識に染まってるのを思い知ったよ。結局、父さんがテーブルを蹴飛ばすよりも早く、女のフォークが男の胸にぶすり。……ハルヒ、全然信じてないだろ、今の話」 「親父、その話、怪談になってる」 「しょうがない。母さん、胸の傷を見せてやれ」 「バカじゃないの。刺されたのは男でしょ」 「そうだ。言ってなかったが、母さん、昔は男だったんだ」 「だったら、あたしはどこから生まれたのよ」 「そりゃ、おまえ、コウノトリをおびきよせて孕ませたんだ。だが、そのコウノトリは本当はハゲタカだったんだ」 「母さん、このバカ、いますぐ捨ててきて」 「父さんは、この若者、気に入っちゃたな。お前が捨てるなら、俺が拾うぞ。お前にオトされるようじゃ、少々線は細いが、なに海兵隊に2年もぶち込めば、口で糞たれる前と後にSir.をつける立派な若造になる」 「訳わかんない。捨ててないし、勝手に拾わないで」 「今時の若いもんを見直したってことだ。……よし、来年は冬コミにサークル参加するぞ」 「はあ?」 「サークル名も決めた。涼宮家を大いに盛り上げるソフィスケイトされた大人の団、略してSOS団だ。ガキは入れないから安心しろ」 「母さん、親父が壊れた。新しいの買っていい?」 「はいはい」 はいはい、じゃないでしょ。誰か何とかして。キョン、いいかげん目をさましなさいよ。や、やっぱ駄目。寝てなさい。目が覚めても寝たふりしてて。 気がつくと、事態は修羅場から、魅惑の食卓へと激変していた。 俺たちはナプキンなどつけ、出ては下げられ、また出ては下げられていく何枚もの皿の上の料理を食べている。 「お、おい。ハルヒ」 「なによ。ちょっと、顔が近いって」 「すまん。しかし、これ家で出てくるような料理じゃないぞ」 「あの人は無駄になんでもできるのよ。若い頃、フレンチの店、してたこともあるみたいだし」 「まじか?」 「金持ちのじじいに金出させて、店出したんだって。シェフもギャルソンもソムリエもピアニストも全部自分ひとり。テーブルも一つっきりで予約のみ。親父と出会うまで続けてらしいんだけど。本人の話だし、あてになんないわ。『日本じゃないのよ』とか言ってたし」 「まじか?」 「小学校も途中までしか行ってないとか、14の時には日本にいなかったとか。そういう『伝説』みたいなことしか、自分のこと言わないの。たしかに語学は親父よりできるみたいだけど、発音はきれいだし。親父は何語しゃべってもカタカナね。あれでよく通じるわ。まあ母さんの方が、娘をからかわないだけマシだけどね。最近そうでもないけど」 そこで何故「じとっ」とした目で俺をにらむ? 「わかんないなら、いいわ。あ、親父、醤油とって」 「フレンチに醤油はないだろ?」 「何言ってんの?このソースにも使ってあるわよ。だったらソイ・ソースとって」 「それ醤油と同じだ。母さん、このソースだが……」 「ええ、使ってますよ、お醤油」 「……キョン君、お互い苦労するなあ」 「はあ」 「愚かしくもバカバカしい店があるんだが、憂さを晴らしに今度飲みに行かないか?新しい友情のはじまりだ」 「キョン、知らない親父に着いて行っちゃ駄目よ。死刑だから」 いや未成年だし。そんな店、行きたくないし。友人は選びたいし。親は・・・選べないんだよな。 「母さん、娘がグレた。次のと交換していいか?」 「次の、って何よ?」 「……教えない。だが、眼鏡っ子で巨乳とだけ、言っておこう」 「むー、巨乳は垂れるんだからね!」 論点が違う!・・・よな? おわり (別の日の食卓にて) 「そういえば、あたしが親父の頭を蹴って、親父が平気な振りして笑ってた話をしたら、キョンの奴、なんて言ったと思う?『子どもみたいだな』『でも、そういうの嫌いじゃないぞ、オレは』だって。ばっかじゃないの!」 「おお、心の友よ!!」 「あんたはジャイアンか!?」 ほんとにおわり ▲ページのトップへ
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その日もいつもの不思議探索。 めずらしく組になった俺とハルヒは一通りの探索を終えて、いつもの公園のベンチにいた。正確にはベンチにどかっと座り込んだのはハルヒだけで、おれはいつもの通り二人分の飲み物を買いに、最寄りの自動販売機に向かった。 自販機からベンチに戻る途中、公園の中を横切っていた俺は、最近では少年誌でもお目にかかれないような、それはそれは古風な格好をしたレッド・データ的不良数人が、ベンチに座っている少女二人に「ちょっかい」をかけているところに出くわしてしまった。消極的平和主義者を自認する俺はもちろん、そのまま通りすぎようと思ったが、お人よし的良心回路がおそらく誤作動したんだろう、意識を介することなく、俺の口を勝手に操って、こんなことを口走らせた。 「取り込み中のところすまないが」 「だれだ、てめえ?」 「通りすがりの雑用係だ。どうせ聞いちゃくれないだろうが、アリバイがわりに言わせてくれ。あと5分もするとしびれを切らした《あいつ》がここを通りがかる。《あいつ》は、見た目は女の子だが、中身は阿修羅だ。しかも、まずいことに破壊的良心回路を実装してる。こう言っちゃなんだが、見るからに悪人っぽいあんたらが《あいつ》に出会うと、かなり高い確率でとってもよくないことが起こる気がする。悪いことは言わん。ここは何も言わず立ち去ることをお勧めする。お互いのために、ひいては世界平和のために。悲しいことに俺の方はもう慣れちまっているが……って、ああ、遅かったか」 「ちょっとキョン!!あんたジュースひとつ買うのに何分かかってんの!?団長をこんな寒空にひとりベンチで待たすってどういうつもり? ん? 誰、そいつら? なんでそっちの子たち泣いてんの? ちょっと、なにキョンの胸ぐらつかんでんのよ! 手をはなしなさい! あんたらの相手はあたしよ!おりゃー!!」 一般的に言って、複数人を相手にケンカすることは、よほど腕に覚えのある人でもお勧めできない。 人間は弱いようでいて、これでなかなかしぶとくて、マンガのようには一撃で倒れてくれることは稀だ。 前後左右の敵を一度に戦闘不能にすることができれば、取り囲まれてもなんとかなるかもしれないが、実際はほとんど不可能に近い。 よって武器でも持たない限り、複数を相手にして立ち回ることはすなわち敗北を意味する。 ハルヒは、腹の底から出した叫び声で、不良たち4人の注意を一瞬で自分に引きつけた。 が、次の瞬間、居並ぶ不良たちの(ハルヒから見て)一番右側の男の真横に飛び込んだ。そいつが体の向きを変えるよりはやく、左足で地面を蹴り、体ごとぶつけるような勢いで、右の掌底を相手の脇腹に叩き込んだ。その痛みに相手のからだがくの字に曲がり頭が下がってくるのを待ち構えていたように、ハルヒの左の掌底が下からそいつのあごを打ちぬいた。 一人目が崩れ落ちて、その後ろになっていた二人目はようやくハルヒの動きに気づいた。が、ハルヒを捕まえようと突きだした手は、低い姿勢で懐に飛び込んできたハルヒを捕らえそこない、空を切った。ハルヒの右の肘鉄が二人目のみぞおちに突き刺さり、その肘を支点に右腕が弧を描いて伸び、裏拳を相手の鼻先に叩きつけた。 その惨状を目の当たりにした三人目は、掴みかかるか否かを躊躇した。ハルヒの方は動きを止めなかった。低い右の横蹴りが相手の脛を打ち、痛みに身を低くしたところに右の裏拳がこめかみに炸裂した。 俺の胸ぐらを掴んでいた四人目は、目の前で何が起きたのか、うまく理解できないといった様子だった。ハルヒはくるりと体の向きを変えて後ろを向き、倒れた三人を眺めつつ、こう言った。 「こいつら連れて帰りなさい。それとも、まだやる?」 「無防備」に背中をさらしているハルヒを見て、ようやく決心がついたらしい四人目は俺から手を離し、ハルヒがしゃべり終わるのを待たずに飛びかかった。 「あ、おいっ……って、遅いか」 罠だと思わず、表記できないようなことを叫んで向かって行ったそいつを無論待ち構えるように、ハルヒの今日一番の大技、後ろ回し蹴りがあごに炸裂した。 「……やれやれ、いわんこっちゃない」 買ってきたジュースを二本とも飲みほした後、ハルヒが語ったところを記しておく。 「話にならなかったわね。見かけ倒しもいいところよ。悪者なら悪者らしく、人質をとるとか一斉に飛びかかるとか、もっと卑劣な手を使いなさい!」 いや、それは無理だろ。おまえが先に、一番右にいた奴のとなりに飛んだからな。 「あたしからみて、ちょうど連中が一直線に並ぶように、あそこに飛び込んだの。となりの奴が邪魔になって、一斉にはかかって来れないでしょ? 一対多でケンカする時の基本よ。覚えておきなさい」 いや、君子危うきに近寄らず、というだろ。まず、そういう事態は避けろ。危ないことはすんな。 「人にはね、どうしても闘わなきゃいけない場面ってのがあるの」 さっきのがそうだというのか? 「あたしが行かないと、あんた殴られてたじゃない」 そうだな。悪かった。これからはもっとうまく逃げるようにする。 「あんただって、からまれてたあの子たちを助けようと思ったんでしょ?」 そんな殊勝な話じゃない。放っておこうと思ったんだが、おまえに言ううまい言い訳が思いつかなかっただけだ。 「ほんと素直じゃないわね」 おまえも知っての通りだ。だが助けてもらった礼を言うくらいの常識は持ち合わせてるぞ。 「聞こうじゃないの」 「……ありがとな、ハルヒ」 「……!!……あ、あんた、なんてことすんのよ!」 感謝のしるしだ。深い意味はない。気にするな。 「き、気にするわよ! このエロキョン!」 副々団長「い、いまキスしましたよね?」 文芸部「した、見た、撮った」 副々団長「って、ええ、長門さん!?」
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「い、息ができないじゃないの、このエロキョン!!」 狭い教室に(物理的な意味で)大反響を引き起すゴージャスかつラウドネスな寝言だった。少なくとも、うとうとしかけてた俺が一気に過覚醒しちまうぐらいには、な。 「……で、できなくても、いいけどぉ。むにゃむにゃ」 はた迷惑な誰かさんの夢の内容については、あえて触れず、想像するのも止めておく。だから推測も無用だ。背景色でのリクエストも受け付けない。5組の連中にならって、肩をすくめてやり過ごしてくれ。以上だ。 が、次の寝言&寝アクション(俺を後ろに引き倒す)は、事なかれ主義者として事態をスルーしようとしてた俺の中の、なんというか名付け難いメーターの針を振り切れさせた。 「早く起きなさい、って言ってんのよ、あたしは!!」 「うお!痛ーっ。……ハ、ハルヒ!! 起きるのは、お・ま・え・だ!!」 「んが?」 「……目が、覚めた、か?」 「……って、キョン? ……あんた、天井向いて座って、なにしてんの?」 やれやれ。ほんと、なにしてるんだろうね。 「おまえが……寝ぼけて引き倒したんだ」 「はっ! そんなことしても見えないし、見せないんだからね!!」 「はあ。何をだ? い、いや、答えんでいい。どんな夢を見ようと……」 「そ、そんなこと言える訳ないでしょ!!」 そーゆー夢を見てたのか、おまえは? 「……見ようと、おまえの勝手だ。だが一人で見ろ。大声だして、クラスをおまえの ドリーム空間に引きずり込むな。俺の言いたいことは以上だ。普通に、黒板向いて座っていいか?」 「……か、勝手にすれば」 「そうさせてもらう」 俺は一度立って、椅子の角度を90度直し、「あ、気にせず授業を」と言い添えてから席に着いた。 しかし静寂は、ものの数分と続かなかった。後ろの席の騒動系女子は、今度は…… 「ご、ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい……」 もう夢の中かよ。しかも、泣いて謝ってるし。 さすがに放っておく訳にもいかず、おれは体を捻って後ろを向き、ハルヒの肩を揺すって起こそうとした。 「ハルヒ、ハルヒ」 「! キョン!!」 がばっと跳ね起きたハルヒは、そのまま俺の体をかっさらうかのように、タックルにしては姿勢の高いぶちかましをくれた。すまん、前の席の人。こんな立ち会いは初体験だ。 机ごと押しつぶしかけたことを許してくれ。 「行かないよね、どこにも行かないよね!!」 今はハルヒをこっちの世界に連れ戻さんとな。 「ああ、行かん。どこへも行かないから、ちょっとは落ち着け。ここはどこだ? 今、何してるか、わかるか?」 「キ、キョン? あ、あんた、なんでこんなとこ……って、あ……」 と言って我に帰ったのか、真っ赤になってうつむくハルヒ。やれやれ。 俺は、授業なんてほっぽり出してもう帰りたいと泣き顔になっていた教師に、「具合が悪いので」(なんて便利な言葉なんだ)、保健室に行きたいと訴えて許可をとり、ハルヒと二人、教室を出た。 「いつまで、そうしてんのよ」 すっかり目が覚めたはずのハルヒは、まだ顔を伏せたまま、そう言い放った。なにが「そうして」るんだ? 「手よ、手!」 おれはハルヒの肩においたままになっている手を、急いで空中に放り出す。ホールド・アップと言われた悪党のように、だ。 「まぬけ面」 ああ、間抜けだとも。 「まさか、助けてやった、とか思ってないでしょうね」 思ってないね。それどころか、「やさしい」俺は、おまえに一発殴られてやるくらいの覚悟があるぞ。 「ハルヒ、おまえ、もてあまし……んが!!」 悪かった。動機はともかく、選んだ言葉は間違ってた。それは認めよう。しかし、……股間はよせ。 「た、たまってなんかないわよ!!」 いや、言ってないし。というか言葉なんて吐ける状態じゃないし。 「あ、あんたの夢なんて見てないんだからね!!」 ああ、クラス中誰一人信じなくても、俺が信じてやる。 「追いかけて来たら承知しないから!!」 と、ハルヒは捨て台詞を吐いて、廊下を走り去った。 いや、それ、むり。今の俺は、立つことさえままならん。 そのうえ、ハルヒが立ち去るのを見計らったかのようなタイミングで、それぞれ教室から出てきた教師二人に,「保健室だ? その前に職員室だ」と俺の要求が却下されるや、NASAに捕まった宇宙人のごとく拉致られ連れ去られた。 小一時間、拝聴した説教は方向性の定まらぬものだった。最終的な落としどころは俺の授業態度と成績の相関関係といったもので、廊下で大声で繰り広げた穏当ならぬ怒鳴り合い(怒鳴ってたのはハルヒだけだだが)については、一言もなかった。最後に登場した我が担任、岡部に至ってはこうだ。 「涼宮も難しい年頃だ。察してやれ」 ちょっと待ってくれ、マイ・ティーチャー。あいつと俺は、同い歳だ。というか、同年輩ばかりの青少年を、グロス単位で同じ校舎に放り込んで教育するのが学校だ。そいつは大いなる職務放棄じゃないか。 ……といった義憤がアナーキーの域に高まる前に、バンッと職員室のドアがはじけ飛ばんばかりに蹴り開かれた。 「キョンを返しなさい」 いや、おれ、おまえの所有物じゃないぞ。しかし誰が何を言えようか、逆らえようか? 背後に不動明王と摩利支天のスタントを背負った憤怒少女に。 俺は濡れ鼠のようにハルヒに引き渡され、ネクタイを引っ張られて、ずるずると部室棟へと引きずられていった。 「今日のことは他言無用だから」 団長席にどかっと座り込むなり、ハルヒは言った。 ああ、学校中の人間にとって周知の事実だろうと、俺は何も言わん。それどころか今日のことはすべて忘れる準備があるぞ。だがな…… 「ハルヒ、おまえ、おれに何か言いたいことがあるんじゃないのか?」 「ない!!」 一歩踏み込んだら、これだ。ひと太刀でケサランパサラン(?)だ。 「言い直す。俺に何か言うべき言葉はないのか?」 「あ、あやまってでも欲しい訳?」 ちょっとは悪いと感じてるのか、このバカは。 「見損なうな」 おまえが俺にしたことは、したいことは、そういうことじゃないだろ。 ああ、おれは少しイライラしていた。いや、量については違うな。とても憤っていた、と認める。目の前に居るこいつと、俺自身とに。 「手を出せ」 「は?」 「どっちでもいい。きれいに洗ってある方がいいが」 「どっちも洗ってあるわよ!」 放り投げるように、突き出された両手。 次の瞬間、危険を察知して、逃げ去るように引っ込められんとするハルヒの右手を、一瞬早く俺の右手が捕らえていた。 「んん! な、なにすんのよ、このエロキョン!!」 大音声に続く、アンダー・イヤー(耳の下、性感帯でもあるがボクシングでは急所。一時的な貧血状態になる。鼓膜もまれに破れる)への一撃に、俺は床に崩れ落ちていた。だが、そのまえに漏れた声は、こいつの手の甲に押し付けたおれの唇への、反応だ。 「レディに礼をつくしたまでだ。き、今日はこれくらいで勘弁してやる」 き、決まらないな。まるで負け怪人の逃げ口上じゃないか。床につっぷしたまま言った台詞じゃ仕方がないか。 「な、何言ってんの?」 「おれだってな、難しい年頃なんだ」 「……」 「誰にだってな、我慢できることと、我慢できないことがあるだろ」 「……あんたって、いっつもそう!!」 ハルヒの両手が、さっきより強く、今度は机を叩く。 「自分だけで考えて!行動して!自分ばっかり大変そうで!」 もっと激しく、机を叩き潰さんばかりに。 「あたしが、どう思ってるか、ちっとも分かろうとしない!!」 「ハルヒ……」 「もっと油断しなさい!もっと甘えなさい!もっと弱み見せなさい! あんた、何様? あたしの保護者とでも思ってんの!?」 この、バカハルヒめ。その言葉、そのまま叩き返してやる。 「……その答え、今知りたいか?」 「……ダメ! 喋るな、動くな! じっとしてなさい」 ハルヒの右手が、今度は俺のネクタイをつかんでホールドする。 「今度は……あたしから……するからね……」 ● ● ● 「痛っ! アホキョン! 舌かむな!」 「つーか、入れるな! おれはそこまでしとらんだろ!」 「……常に当社比150%アップよ」 「俺は、おまえの当社じゃない!」 「じゃあ何んだってんの?」 「は?」 「じゃあ何よ? 耳かっ穿じって聞いてあげるから、言ってみなさい」 この野郎……。 「いいんだな。……いいとも、言ってやる」 「!……ひゃぅ!……エ、エロキョン! 耳かむな!!」 「お返しだ」 「お返しになってないでしょ! 一方的でしょ!」 なんとでも言いやがれ。 「ヘンタイ! キモキョン!」 「スキダ」 次の瞬間、世界が反転した。間違いない、腕の関節を取り、足払いをくらわし、俺を床に叩き付け、胸の上に乗っかって首を絞めているこいつがやったんだ。 「痛え!!」 「今、なんて?」 ハルヒ、痛い。それに顔が近いって。 「いま、なんて言ったの?」 瞳に吸い込まれそうだ。が、顔を背けようにも、耳の上の髪を両方ともがっちりガードされている。応答によっては、こいつの両手は標的を変え、俺の首にかかるかもしれない。 「ハルヒ、できれば、押し倒す前に、聞いて欲しかったぞ」 「うっさい!」 真っ赤になった顔を見れば、こいつの耳に俺の声が、心に俺の気持ちが届いているのは確実だと思うんだが。 「ちゃんと聞けよ。に、二度と言わないからな……」 ただでさえ近すぎて大きく見える眼が、なおさら大きくなる。水の粒が、俺の額を、頬を濡らす。 「ダメよ、そんなの!」 ハルヒは遠心力で涙をふっとばし、泣いてなんかないからね、といった顔で叫ぶ。 「毎日聞く! だから、毎日言いなさい!!」 「……わかった。言う。何度でも言ってやる。そしたら、泣き止んでくれるのか?」 「な、泣いてなんか!」 左手で、なおも溢れる涙を拭う。 「泣くのなんか、あんたの前、だけなんだからね……」 近づいてくるハルヒの顔が、視界一杯に広がって、他には何も見えなくなった。
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オヤジ バカ娘、ちょっと言っていいか? ハルヒ 何なの? 時と場合を考えてよね。 オヤジ とりあえず雑魚の方は引き受けてやるから、ボスキャラっぽいのは任せる。 ハルヒ 花を持たせてやるっての? 2mくらいありそうなんだけど。 オヤジ 7フィート(=2.1336m)はある。総合(格闘技)か何かやってるな。人の骨を折る音が大好きなタイプだ。 ハルヒ 丸ごと偏見じゃないの。 オヤジ そうでもない。スキンヘッドはウケ狙いじゃなく、髪の毛をつかまれないためだ。低い姿勢で入ってくるぞ。間違っても膝で合わせようなんてするなよ。 ハルヒ わかってるわよ。そっちこそ、雑魚相手に息切らさないでよね。 オヤジ 潜水は得意だ。・・・おーい、おまえら。俺に勝てたらな、この娘、くれてやる。 (うぉおおおおおおおおおお) ハルヒ なんか、異様に盛り上がってんだけど? オヤジ おいおい、スキンヘッド。おまえもこっちか? ハルヒ みんな列つくってるわよ。 オヤジ 後ろの奴は20分待ちだな。退屈しのぎに「ハレ晴レユカイ 」でも、踊ってやれ。 ハルヒ ぜったいイヤ。 オヤジ 一番手はお前さんか。キョンだと思って殴るからな、多分、傷の治りは遅いぞ。 ハルヒ 普段、どういう目でキョンを見てんのよ!? オヤジ 口ではうまく言えん。今から拳で語ってやるから見てろ。 ハルヒ うわ!ひえ!ちょ、ちょっと、気を失ってる相手を、何もそこまで……。 オヤジ 待て。もうちょっとで最初の一言が出てきそうなんだ。 ハルヒ ……次の人。闘(や)ってもいいわよ。 オヤジ 母さん、好きだあああ!! ハルヒ この、バカ親父!! 何の脈絡もないでしょ! オヤジ 渾身の力を込める時、一番気合いの入る言葉を叫ぶのは、基本だろ? ハルヒ ……以前、それと同じようなことを言ったバカが居たわね。 オヤジ キョンの奴、そんなことまで!? ハルヒ もういい。なんか疲れたから、終わったら呼んで。 オヤジ 俺たちは朝まで盛り上がるぞお! (うぉおおおおおおおおおお) ハルヒ さっさと闘(や)りなさい!! オヤジ なんだ、スキンヘッド、もうおまえの番か? 一戦前に一曲舞う? ムエタイの選手か、おまえは? 演目は「黒髪」? ここに来て地唄舞とは……。 ハルヒ いいかげん、さっさと闘(や)りなさい!!
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710 名無しさん@秘密の花園 2007/11/10(土) 00 19 39 ID GYkJOveZ いつも妹(ノーマルでは弟)のように思っていて 「この子は(有希は)か弱いから、私が守ってあげなくちゃ」 とか言って可愛がっていた相手からある日突然押し倒されて・・・・ なんてシチュエーションはザラにある。 711 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 00 47 21 ID WML6t6cg 710 なんだそのもの凄く妄想させるシチュエーションは! 712 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 04 04 10 ID rQgdwuvb まぁ有希ハルを妄想する時に必ず通るシチュエーションだよな。 ハルヒの有希に対する溺愛ぶりは、まるで妹に対するそれだよ。 何も知らないハルヒは、自分より長門の方がか弱いんだと思い込み、だから守ってあげなきゃという使命感に燃えている。 でもいざ押し倒されてみると、圧倒的な力差と超宇宙的テクニックの前に為す術も無く、急に小動物化してしまう。 で、事が終わってから言い訳の様に ハルヒ「あたしが本気で抵抗したりしたら有希を怪我させてしまうかもでしょ!べ、べつに(ry」 有希「そう・・・」 713 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 15 01 41 ID /XRDiFqt 「えっ?何?ちょっと有希やめなさいよ!」 「やめない」 「そんなことダメだってば!」 「でも身体は正直」 「そ、そんなことないんだから」 「ある」 「んあっ!」 722 名無しさん@秘密の花園 2007/11/12(月) 18 25 34 ID EeiKyVvu 百合も大好きなんだが、 同性異性問わずモテてモテてモテまくりで、 SOS団全員から花束でも贈られてて、 「えっ………!?(///」ってなってる超々愛されまくり 逆ハー総受けハルヒが好きなんだが そんな異端は俺一人で十分だ! ちくしょう仲間なんていらねぇぞ! さあ、みんなで今日も百合の話をしようぜ! 725 名無しさん@秘密の花園 2007/11/18(日) 19 25 28 ID n2BUGsMc 「これ」 「お花?私にくれるの?」 「そう」 「うん。ありがとう有希、団員として良い心掛けだわ」 「団員としてではない。長門有希個人として…」 「わっ!?ちょっと有希?」 「…」 ↓ 713